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第11章『人間は、地球最後の「はかない希望」』→ われわれは 今後、どう生きるべきか? |
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それにしても… 僕たちは これから、 一体 どうすれば いいんだろう…? | |
ふき が、 しみじみと 寂しそうに つぶやきました。 ネック の 「命をかけた願い」と、 それによる ミューラー・かみね の 協力もあって、 『生存本能で、 世の中の価値観を 読み解く』 という 素晴らしい「公式」を 手に入れた ふき でしたが… それは 同時に、 『「いつか」宇宙が 終わってしまうのであれば、 そもそも、 我々 生物の本目的である 「生き残ろう」という意志自体が、 「無意味」であり「矛盾」である』 という 冷酷な事実を、 今まで以上に 明確に 色濃く、 骨身にしみて 思い知らされざるをえない のでした… | |
こうしてみては どうでしょう、 ふきくん。 | |
うつむく ふき に、 トンビ紳士 が 提案しました。 | |
『宇宙が いつか終わる』 という事実を、 今は あえて、 少しだけ 無視 して… | |
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『自分たちの生存確率を 向上させる』という、 「われわれ本来の目的」を トコトン追及することで、 『「今」どう生きるべきか?』 を 考え直してみるのです。 | |
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『今、どう生きるべきか』… ですか? | |
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遠い未来に 「宇宙が無くなる」ことは、 ほぼ確実 です。 でも それ以前に、 そもそも私たちは、 『将来、この地球から 脱出できるかどうか』 すら、現時点では あやしい のです。 | |
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それこそ、 「脱出」は おろか、 『何もできないまま この地球上で 絶滅してしまう』可能性すら 皆無ではない のですから… | |
言われてみれば その通りです。 「宇宙が終わる」こと についての心配 は、 『いつか 地球上の生物が、 宇宙を自由に 行き来できるほどの、 現時点では 想像もできないほど 圧倒的な科学力を、 手に入れた後』に するべき であって… 現時点の、 『地球上に へばりついて、 かろうじて生存しているだけが 精一杯の生物(人間)』 にとっては、 「心配すること自体が 思い上がり」 とすら言えます。 まずは 最低限、 自分たちが 滅亡してしまう前 に、 『この地球上から 太陽系内を 自由に 行き来 できるぐらいの科学力』を 身につけること… 話は、それからです。 | |
「未来」ではなく、 『「今」の 自分たちの行動』 からして、 もっと 根本的に 考え直す必要がある、 というわけですね? | |
ふき の 言葉に、 ミューラー が うれしそうに うなずきました。 |
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その通りです。 ふきくんとは、 『人生の しあわせ』 について、 何度も話し合いを してきましたが… | |
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あの当時は 『宇宙が 終わる』 という事実を 考慮していなかった ので、 語られる内容も どうしても、 ごく日常的なものに とどまっておりました。 | |
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ですから、 これを 今一度、 『地球脱出』ぐらいの 大きな視野 で、 「今までの日常的な感覚」を 超えるケースも想定して、 考え直してみる のです。 | |
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その先に もしかしたら… 我々 生物の 『「次」の 目的・目標』も、 見えてくることもある のではないでしょうか? | |
ミューラー の 提案を聞いた ネックは、 ちょっと 遠い目をしながら、 こんなことを言いました。 公園 にいた頃に聞いていた、 「人間たちの 日常のグチ」を 思い出しているのかも しれません。 | |
今の人間たちも、 たしかに みんな 「自分の生活」を守るために、 あいつらなりに 毎日 必死で がんばってる と思うよ? | |
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でもさ… それって 『いつか 宇宙が終わる』 ってことを知らずに、 「ただ ガムシャラに」 がんばってるだけ なのよね。 | |
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『自分たちの 「行く末」(ゆくすえ)も 知らずに、 ただ「闇雲に」 がんばってるだけ』 って 事か… 「目先」ばかり見て、 『進む先にある 遠くのもの』 に 目が行っていない… | |
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「動物」や「ウイルス」と、 何も違わない んだなぁ… | |
ふき は「かつての自分」を 思い出しながら、 複雑な気持ちで つぶやきました。 | |
それって 怖い ですよね… 人間さんたち自身は 「今この瞬間を 一生懸命 がんばっている」 つもり でも… | |
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実は、 「長い目」で見ると、 『目指すべきゴールとは 逆方向に進んでいる』 ことも あるかもしれない わけですか… | |
ネックたちの言葉に、 ミューラー が 深く うなずきました。 | |
その通りです。 『スカラー』(量)も 大切ですが、 本当に重視すべきは 『ベクトル』 (量+方向) なのです。 | |
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どんなに ひたむきにガムシャラに 走っても、 それが 「東へ10キロ 走った」後に 「西へ10キロ 走る」 という内容であれば、 結果は スタート地点に 戻ってくるだけ… | |
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『方向を定めない ガムシャラな がんばり』は、 限りある 貴重なエネルギーを 「浪費」することにしか ならない のです… | |
「宇宙が終わる」という、 つらい未来(ゴール)を 知ったことで、 かえって 『今の自分たちが、 どう生きるべきか』を 見つめなおすキッカケが 生まれてきた… ふき は、 『真実・真理の持つ 不思議な 二面性』に 驚嘆しつつも、 今までの自分の 「しあわせ」(人生の目的)を 考え直してみることに するのでした。 |