サイト『生きる意味の「正体」教えてやるにゃー』
第0章『白猫ネックと 出会った日』
記憶をなくした会社員「ふき」


■ 記憶をなくした
会社員「ふき」(2/3)


『僕は どうして、
この公園に…?』





その青年は、

公園のベンチの上で、
ハッ…! と 我に返りました。








季節は、
冬まっただ中の 1月


時刻は、夕暮れどき
なろうとしています。




いつもは、
もっと 寒々としている
時間帯なのに…


なにか 今日は、
ふんわりとした
ぬくもりすら感じさせる、


そんな おだやかさ
あたりに ただよっています。

   





夕日が、ビルの林の中に
隠れていくにつれて、


都内にある、
広々とした この 公園
にも、

ポツポツと
外灯が灯りはじめ、


静かに藍色に
そまっていく
には、

チラチラと
星が灯りはじめました。




公園の入口の向こうに
見えている には、

仕事を終えた人々の
家路をいそぐ姿
が、

遠く静かに
ゆれて見えています。

   






そんな、
人の行き来も ほとんどなくなった、
夕方の公園 の 片すみで、

なぜか
ベンチに座りこんでいた、
会社員の青年『 ふき 』




ふき は、

ボンヤリとした
頭のまま、

まだ少し明るさの残る、
静かな夕方の空

見上げました。







自分は、こんな所で
なにをしているんだろう…?




ベンチに座って「居眠り」でも
していたのだろうか…?




なにか、
『とても 大事な用事』
が あって
この公園に来たような…






なのに、
なぜか それを キレイさっぱり
忘れてしまっている

ような…








そんな、
うっすらとした不安感
包まれていた ふき が、

唐突に、
こう つぶやきました。





…あ。

『オリオン』。








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