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第0章『白猫ネックと 出会った日』→ 記憶をなくした会社員「ふき」 |
その青年は、 公園のベンチの上で、 ハッ…! と 我に返りました。 季節は、 冬まっただ中の 1月… 時刻は、夕暮れどき に なろうとしています。 いつもは、 もっと 寒々としている 時間帯なのに… なにか 今日は、 ふんわりとした ぬくもりすら感じさせる、 そんな おだやかさ が あたりに ただよっています。 | |
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夕日が、ビルの林の中に 隠れていくにつれて、 都内にある、 広々とした この 公園 にも、 ポツポツと 外灯が灯りはじめ、 静かに藍色に そまっていく 空 には、 チラチラと 星が灯りはじめました。 公園の入口の向こうに 見えている 駅 には、 仕事を終えた人々の 家路をいそぐ姿が、 遠く静かに ゆれて見えています。 | |
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そんな、 人の行き来も ほとんどなくなった、 夕方の公園 の 片すみで、 なぜか ベンチに座りこんでいた、 会社員の青年『 ふき 』… ふき は、 ボンヤリとした 頭のまま、 まだ少し明るさの残る、 静かな夕方の空 を 見上げました。 自分は、こんな所で なにをしているんだろう…? ベンチに座って「居眠り」でも していたのだろうか…? なにか、 『とても 大事な用事』 が あって この公園に来たような… なのに、 なぜか それを キレイさっぱり 忘れてしまっている ような… そんな、 うっすらとした不安感に 包まれていた ふき が、 唐突に、 こう つぶやきました。 | |
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