サイト『生きる意味の「正体」教えてやるにゃー』
第0章『白猫ネックと 出会った日』
記憶をなくした会社員「ふき」


■ 記憶をなくした
会社員「ふき」(3/3)


『久しぶりに見上げた 星空』





つぶやいた ふき
視線の先…

暮れていく南の夕空 の 中に、


少し明るい星が
ナナメに3つ、


行儀よく並んでいるのが
見えます。

   




あれは、
『オリオン座』です。





「オリオン座」は、

夜空で最も明るい部類である
「1等星」を 2つ、

それについで明るい部類の
「2等星」を 5つも持つ、

とても明るく 美しい、
冬の代表的な星座の1つ
なのです。






子供のころは、

お小づかいをためて買った
「天体望遠鏡」を片手に、

星空を眺めてまわった
ふき でしたが…



最近は 仕事の忙しさ
などで 疲れはて、

ゆっくりと 夜空を見上げる
心の余裕も、

すっかり
無くなってしまって
おりました。







でも、今こうして
なつかしい星座 に 再会して、

なにか、
旧友に出会ったような
おだやかな心地
が 広がり…




ふき は、先ほどまでの
「漠然とした不安感」が、

サラサラと崩れて

消えていくように
思えるのでした。







…と、その時、

ふき は 何かに気づいて、

自分の脇を
見おろしました。







自分の座っている
同じベンチの上…

自分の すぐ隣 に、



小さな白いメスの野良猫 が、
チョコンと座って、

彼のほうを
見上げていたのです。









[章の 目次 に戻る]