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ま、でも、
なんだかんだで オレって、
「中流」っていうか、
結構 めぐまれた日々を
送れてる と思うんで、
悲観は してない けどね。
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結局 世の中、
オレみたいに、
堅実に生きてる人間
こそが、
『 本当の しあわせ者 』
なんだよね〜
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それに こうやって、
糞つまらない イヤな仕事 でも
とにかく 辞めずに
こなし続けてれば…
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そのうち どっかから
ポン! と「チャンス」が
やって来て、
30歳か 40歳ぐらいで
ドーーンと 人生
逆転できるんじゃね?
みたいに、
ポジティブ に
考えてるしね。
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話しているうちに、
ふき の ニヒルな笑い は、
ニタニタ笑い に 変貌してきました…
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そんとき 周りの奴らは、
オレを見て
どう思うかな〜?
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「今まで、ふきって、
ありふれた地味な奴だと
ばかり思ってたけど、
あぁいうのが 本当の
『幸福な人生』
だったんだ!
ああ! ふきさんの人生が
うらやましい!!」
なーんて 後悔したり
するのかな?
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でも、そうなってもオレは
謙虚 に こう言うつもりだよ?
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『 いやいや、
人の人生は「それぞれ」で、
良いも悪いも ありません。
偉くなっても、
「オレは オレ」です。
皆さんも あきらめずに
生きていれば、そのうち、
「オレみたいになれるチャンス」が
きっと必ず 訪れますよ! 』
…てね。
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あいつら、感動して
泣いちゃうんじゃね?
ぐひひひ〜〜
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なんとも言えず
楽しくなってきた ふき は、
ベンチに座ったまま
そばの 白猫 を 抱きあげて、
赤ん坊を
「高い高い」するように、
自分の 頭の上に かかげました。
白猫の背後に広がる、
先ほどよりも さらに
夜に近づいた空には、
細かな星たちが、
静かにチラチラと
灯りはじめていました。
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そんな 星たちの輝き
にも 似た、
美しく、しかし どこか
落ち着きのある声 が、
ふきの 頭上から降ってきた のは、
まさに その時 でした。
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あんたが『しあわせ者』??
頭 おかしいんじゃ
ないの、あんた?
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