サイト『生きる意味の「正体」教えてやるにゃー』
第1章『オレって しあわせ!』
ふきの思い出話 『戸郷さんの言葉』


■ ふきの思い出話
『戸郷さんの言葉』(4/5)


『バグチェッカーの資質』





ただ…

そうした「追求しすぎ」
たびたび犯すとはいえ、

ふき の 着眼が
「他のバグチェックのメンバーより
明らかに抜きん出ている」
のも
確かだったのです。





戸郷さんは以前、

ふきこんな質問
したことがありました。




凄いな…

どうして、こんなバグ
見つけられたの?




上司に褒められて、

入社直後の ふき
天にも昇る心地 で 答えました。




いや〜、僕 ちょっと
プログラムが出来る んすよ。

だから、
「見つける」っていうより…




仕様書(ゲームシステムの設計書)
とか読んでる時点で
『分かっちゃう』んですよね、

バグを生み出しそうな
怪しいトコ が。




浮かれる ふき
ちょっと苦笑しつつも、

戸郷さんは続けました。




でも、このバグ…

開発中のロールプレイングゲームの
『4人パーティの4人目だけが、
武器・防具の威力が
本来の 1/2 になってしまうバグ』
は、

色んな要素が絡んだ結果のバグだから
仕様書からは推測できないよね?




それに「発生する場所」も、
ゲーム全体で たった2ヶ所の
「特定の中ボス戦」だけ

限られてる…

どうして見つけられたのか、
開発チームの皆も
不思議がってた
よ?




上司と 開発チームの絶賛に、
ふきの ニヤニヤは止まりません。





…が、そのとき

ふと、ふきが 真顔になり、
思い出したように
口にした言葉がありました。





『違和感』…




ん?




『違和感』が あったんすよ。

序盤の中ボス戦で、
これまで結構
戦力になってくれていた
「4人目の仲間」
が、

あのとき 初めて HP0 で
戦闘不能に なっちゃって

「あれ??」って…




その時は
「敵の攻撃が たまたま
4人目に集中してたのかな?」

ぐらいにしか
思ってなかったんすけど…




戸郷さんは
静かにうなずきながら
話を聞いています。






でも、しばらくゲームを進めて、

中盤の 別の 中ボス戦でも
4人目のHPが減りがち

なのを見て…




「あれ? そういえば 以前にも
似たような 違和感
あったよな…」


「しかも、あの時も たしか
中ボス戦だったぞ?」
って、
思い当たったんす。




それで、

もしかして これ、
『発生箇所が
限定されたバグ』

なんじゃないか?
って
気づいたわけなんです。





話し終えた ふき
しばらく見つめていた
戸郷さんは…


腕組みしたまま、
静かに天井を見上げました。


  



【下へ 続きます】



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