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第2章『それって、しあわせ?』→ 南方からの客人 |
実は ふき は、 昨年の年末ごろ に、 | |
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などと思いつき、 住んでいる街から 電車で2時間ほどの、 風光明媚な 南の小さな半島の「海辺」に、 日帰りで遊びに行ったことが あったのです。 ところが、 海辺特有の 強い風 に、 アッという間に体温を奪われた ふき は、 数分で 音(ね)をあげ、 あわてて、 少し離れた場所にある コンビニまで逃げ帰りました。 ![]() そこで、 ホカホカの「肉まん」を 買った ふき は、 あらためて 海辺へ Uターンしたものの… 寒さにガチガチふるえ、 鼻水たらしながらも、 必死に「肉まん」にパクついて 暖をとり、 かろうじて 海岸に 居すわり続ける… という、 クールとは対極の、 みじめな旅人 と 化してしまっていたのです… ![]() そんな ふき の耳に、 突如、ヒュッ という、 小さな風を切るような 音が聞こえたかと思うと… 指先に バチーーン! と すさまじい衝撃 が走りました。 | |
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なさけない悲鳴を上げて、 冷たい砂浜に ひっくり返った ふき が 頭上に見たものは… 「何か 白いもの」を 足で つかんで、 軽やかに上空に 飛び去っていく、 大きな茶色い鳥の 後ろ姿 だったのです… ハッと気づいて、 自分の手を見た ふき が、 | |
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と、悲痛な声をあげたのは、 その直後でした。 結局、 「唯一の ぬくもり」を トンビに奪われた ふき は、 それで 心が ポッキリと 折れてしまい、 トボトボと 駅に引き返し、 ションボリと 自分の街に 帰っていったのでした… ![]() | |
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自分を指差す ふき に、 トンビは うれしそうに ほほえみ、 うなずきました。 ![]() |