★ トンビが街にやってきた(3/7)
(ミューラー登場)





玄関の前で、ともに
引っくりかえってしまった

ふき と 鳥 でしたが…


最初に冷静さを
取り戻したのは、

訪問客である
「鳥」のほうでした。




鳥は立ち上がって、

カッターシャツに
ついたホコリを
羽根でパタパタと はたくと、

りりしくも あたたかい
ほほえみ
を浮かべて、
ふき に 挨拶を始めました。





お久しぶりです、
ふきくん。



私、以前に ふきくん と、

海辺で お会いしたことが
ある者です。




もう 1年 ほども
前のことですから、

さすがに
憶えておいでではない
かとは思いますが…





あ。 ちなみに 私、
「ワシ」ではなく
『トンビ』になります。


「トンビが タカを産む」
「トンビに 油揚げをさらわれる」

などの ことわざ で、
人間さんたちに おなじみの、

あの『トンビ』です。





…よく考えてみると、

あまり 良いことわざに
使っていただけて
おりません
ね。

私たち 「トンビ」は…






サラサラと流れるように
話し続ける このトンビ…

よほど「話好き」のようです。




本来、トンビが、
人の言葉を話す

というのは、

ありえない異常事態
なのですが…



ふき は すでに、
「しゃべる猫 ネック」



1ヶ月ほど暮らしている
実績(?)も あったためか…



そのあたりは、
意外とスンナリ受け入れて、



そ、そうなんすか…

いやオレ、

「鳥の種類」って
よく分かんなくて…



…と、

腰を抜かしつつも
トンビに勘違いを詫びた
のでした。





もっとも 当のトンビは、

そうした勘違いは
特に気にしていない様子で、

ただ、ふき の 顔を見上げて
ニコニコしております。






そんな
気さくなトンビを、

マジマジと
見つめているうちに…


ふっと、
ふき の脳裏に、

ある光景
よみがえってきたのでした。








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