★ トンビが街にやってきた(4/7)
(ミューラー登場)





実は ふき は、
1年ほど前の冬 に、



オレのような
クールな男にふさわしい、
「冬の海」でも見に行くか…



などと思いつき、

住んでいる街から
電車で2時間ほどの
場所にある、

風光明媚な
南の小さな半島の「海辺」
に、

日帰りで遊びに行った
ことが あったのです。







ところが、

海辺特有の 強い風 に、
アッという間に
体温を奪われた
ふき は、


数分で 音(ね)をあげ、

あわてて、
少し離れた場所にある
コンビニまで、
逃げ帰りました。






ふき は そこで、
ポカポカの「肉まん」を買い、

あらためて
海辺へ Uターン…



寒さにガチガチふるえ、
鼻水たらしながらも、

必死に「肉まん」にパクついて
暖をとり、

かろうじて
海岸に居すわり続ける…

という、


クールとは対極の、
みじめな旅人

化してしまって
おりました…








そんな ふき の耳に、

突如、ヒュッ という、
小さな風を切るような
音が聞こえ、


指先に バチーーン!
すさまじい衝撃が走ったのは、

まさに その時でした。





『ぎゃあ!!』






なさけない悲鳴を上げて、

冷たい砂浜に
ひっくり返った ふき
頭上に見たものは…



「何か 白いもの」
足で つかんで、

軽やかに
上空に飛び去っていく、

大きな 茶色い鳥の
後ろ姿
でした…






[章の 目次 に戻る]