★ トンビが街にやってきた(5/7)
(ミューラー登場)





ハッと気づいて、
自分の手を見た ふき が、


オレの 肉まん!!


と、悲痛な声をあげたのは、
その直後でした。






結局、

「唯一の ぬくもり」
トンビに奪われた ふき は、

それで 心が ポッキリと
折れてしまい、



トボトボ
駅に引き返し、

ションボリ 自分の街に
帰っていったのでした…










もしかして…

「あのとき」の…?





指差す ふき に、

トンビは
うれしそうに ほほえみ、

うなずきました。




そうです、そうです!


いやぁ、あの時は
本当に助かりました。

冬場で なかなか
食料が見つからず、


困りはてて
いたのですが…




あの時、ふきくん に
譲っていただいた
おいしい食べ物
おかげで、

なんとか 家族全員、
当座をしのぐことができた

のですから…










『あの「肉まん」は、
あげたんじゃなくて、


あんたがムリヤリ
オレから盗っていった

んじゃないか…!!』








と、激怒しかけた
ふき でしたが、


ここまで素直に感謝されると
悪い気はせず…






また、

紳士的な このトンビ
こうして話をしていると、


あの「ミジメな冬の海の記憶」も、

なにか 大切で 運命的な、
『あたたかい
出会いの 思い出』

に 思われてくるのでした。


  






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