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第2章『それって、しあわせ?』→ 『恋人』がいれば、本当に幸せ? |
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そ、そういえば ネックさん! さっき、意味不明なこと 言ってたよね? オレが 彼女の「家来」って、 どういうこと!? | |
「家来」という単語を あらためて 口にしてみると、 その理不尽なミジメさに、 ふき は、心が イラリ と してきました。 もっとも、 ネックは 自分自身で 「恋というものが よく分からない」 と言っている ほどですから、 なにか 勘違いをおこして そんな 悪口めいたことを 言っているだけだとは思いますが… ところが、 | |
…あ、いえ、ふきくん。 実は 私も、 デートの様子を拝見していて、 ネックさんと 似たような感想 を 抱いてしまいました… | |
などと、 すでに妻帯者である ミューラー までが、 遠慮がちとはいえ、 そんなことを言い出したのです。 さすがに これは、 ちょっと立ち止まって 考えざるをえません… ただ、ふきには、 サッパリ意味が 分かりませんでした。 ふき が 今 付き合っている彼女は、 会社の同僚 で、 知り合いなどに 写真を見せたときにも、 ちょっとした驚きを さそえるほどの「美人」です。 ふき自身、かなり無理をして 機会をうかがい、 たまたま 彼女が 前の彼氏と 別れた直後のタイミングに 声をかけた のが 功を奏して、 なんとか 今の関係を スタートさせることができた… という感じで… どちらに イニシアチブ(主導権) があるか? と 聞かれれば、 正直「彼女」でしょう… とはいえ、 『恋愛なんて 大なり小なり そんなもの』 ではないでしょうか? 少なくとも、ふき は そう思いながら 月2〜3回ぐらいのペースで 彼女とデートしつつ、 すでに半年が 過ぎようとしていました。 そして、彼女とデート しているときの ふき は、 なにか、周りの人間… 特に、『彼女の いなさそうな 同年代の男』に 対して、 なんともいえない 「優越感」を ヒシヒシと感じる のです。 だから ふき は、 『この感じこそ、 間違いなく 自分が 「幸福」である証拠だ!』 と、今まで強く 信じてきたのですが… ミューラー たちは、 そんなふうには 思っていないのでしょうか? |
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見ていて感じたのですが、 ふきくん、 すごく相手の女性に 気を使っておいで でしたよね… | |
ミューラー が、 心配そうに たずねました。 | |
ったく、 見てて イラッイラ させられたわ… あの人間のメスは メスで、 ほとんど あんた関係なしに、 スマホいじって遊んでる し、 あんたは あんたで、 『あっしは お嬢様の 下僕で ごぜえますだ』 みたく ペコペコしてる し… | |
ネック に、 はき捨てるように言われて、 ふき は 頭に 血がのぼりました。 | |
め、『メス』って なんだよ!? てか、彼女が スマホいじってたのは、 そんだけ オレと いっしょにいるとき、 『リラックスしてる』って 証拠 じゃないか! | |
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ネックさん は 物事を 「悪いほう 悪いほう」に 考えすぎるんだよ! | |
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あーらあら、 それはそれは。 あたしも、ふき ぐらい 『バカげた プラス思考』 で 生きれたら、 さぞや「悩みがゼロ」で 楽な人生だった ざましょうね〜。 | |
一触即発の ふき と ネック の あいだに、 「まぁ まぁ まぁ…」 と、トンビ紳士 が 仲裁に入りました。 | |
たしかに、 「男女の仲」というものは、 他人には 分かりづらい 場合もあります。 ましてや 私たちは、 「トンビ」と「猫」… 人間さんたちの恋愛とは、 感覚が違う ところも あるでしょう。 | |
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んー、まあ たしかに、ね。 あたしは「避妊手術」も してるしねぇ。 | |
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ん? 「ヒニン… シュジュツ」…?? | |
ミューラー は 初耳だったらしく、 目をパチクリとさせました。 そして、ネック から、 人間と生活している ペットの動物の中には、 『避妊手術』というものを 受けるケースがあること… ネック自身にも、 それが 施されていること を 聞いて、 ずいぶん 驚いておりました。 とはいえ このままでは、 ふき と ネック の 話し合いは すれ違うばかり… そこで ミューラー は、 こんな提案を してみたのでした。 |