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第2章『それって、しあわせ?』→ 将来の『夢』が あれば、本当に しあわせ? |
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ふきは 困惑した顔のまま、 自分の机 に歩いて行きました。 そして、 何度か ためらいながら 引き出しを開け、 中から 「大きな封筒」を 取り出し… 何度か ためらいながら、 ネック と ミューラー の 目の前の床に、 その中身を広げたのでした。 中から出てきたのは、 大量の 細かいメモ用紙 … それらのメモ1つ1つには、 断片的な ゲームアイディア が 走り書かれています。 …ところが、 どこを探しても、 「それらのアイディアを まとめたもの」が 見当たらない のでした。 | |
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不思議そうに たずねる ミューラー に、 ふき が、苦しい顔で うなずきました。 | |
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重ねて聞く ミューラー に、 ふき は 先ほどより さらに苦しそうな顔で 首をふりました。 | |
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ネック に 急所を突かれて 肩が ビクン と ふるえた ふき でしたが、 弱々しくも 必死の反論を試みます。 | |
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心配そうな ミューラー の 言葉に、 結果的に さらに 痛い所を突かれ て、 ふき の 顔面は、これまでになく 深く 青黒く なっていくのでした。 | |
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ネック は、 そんなイヤミを言いながら、 ふき の 顔を のぞきこみました。 当の ふき は、 白目をむいて 気絶しておりましたが… |
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ネック は、 目覚めて、ようやく 落ち着いた ふき に、 そんな 反省のような 文句のような 言葉 を こぼしました。 | |
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ミューラー が、 とても残念そうに 首を左右に振っています。 | |
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トンビ紳士の発した言葉に、 うなだれていた ふき が 頭を上げました。 | |
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ここで ミューラーは、 ちょっと 寂しそうな顔 に なりました。 | |
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話している ミューラー の 視線が、 置きっぱなしになっている 「アイディアメモの入った 封筒」に 向けられていることに 気づいた ふき は、 恥ずかしくなって、 あわてて それを 手元に引き寄せるのでした。 |
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寂しそうに つぶやく ミューラー に、 ネック が、鼻で笑いながら そんな事を言いました。 | |
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ネック の 視線までもが、 封筒に向けられている ことに気づき、 ふき は それを隠すように 胸に抱きかかえました。 クシャクシャに なってしまった封筒が、 さびしげです… | |
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ネックは、そんな感想を 語りながら、 公園に居たころ のことを 思い出していました。 ネック自身が しゃべれる (人間の言葉が分かる) 猫であることを 秘密 にしていたので、 公園に来る人たちは、 ネック のことを、単なる 猫 … 「言葉の 分からない相手」 だと思い込んで、 だからこそ気軽に 自分語りをしてくることが よくありました。 ある者は、 日々の グチ について… ある者は、 将来の 夢 について… でも、 そうやって 多くの人間の 「夢」を聞いてきた ネック は、 ミューラー の言う 「違和感」と 同じようなものを、 いつも ボンヤリと感じていました。 そして だいたい、 そんな「アヤフヤな 夢」を 語っていた人間は、 しばらくすると、 自分の夢と 現実の「ギャップ」 に つぶされていくのか、 じょじょに 覇気が 無くなってきて… やがて、公園に 来なくなってしまう のです。 ふき は、 ネック の 視線が いつの間にか、 封筒ではなく 「自分」に注がれている ことに 気づきました。 でも、 ネック の その目は、 いつもの 小馬鹿にした それではなく、 なにか、 とても遠くを見ている ような、 不思議なもの だったのですが… |