■ 「夢」 を、単なる人生の
アクセサリーにしていない?(3/5)






ふき の持ち帰った
大きな封筒の中から出てきたのは、

大量の細かいメモ用紙 でした。


それらのメモを
1つ1つ読んでいくと、

それぞれに、
断片的なゲームアイディア
走り書いてあります。




…ところが、どこを探しても、

それらのアイディアを まとめたものが、
見当たらない
のでした。






…あの。 ふきくん。


これで全部でしょうか?





ミューラー
不思議そうな顔で たずねると、

ふき は、苦しそうな顔で
うなずきました。









これを開発の皆さんに見せると、

ゲームを作ってもらえる
のでしょうか…?





重ねて聞く ミューラー に、

ふき は 先ほどより
さらに苦しそうな顔で
首をふりました。









なによ これ?

ま〜だ ぜんぜん
形になってないじゃないの。





ネック に 急所を突かれて
肩がビクンとふるえた
ふき でしたが、

弱々しくも
必死の反論を試みます。





い、いや。

オレの頭の中では、

ある程度 構想は、
まとまってる
んですよ?





でも 今は、
毎日 仕事が忙しくて…



時間さえ、

時間さえあれば…






でも、ふきくん の
そのゲームの構想は、

言葉だけでスタッフの皆さんに
伝わるのでしょうか…?


それに、ふきくん の仕事が、
今後 時間的余裕が
できてくるという保証は…?





心配そうな ミューラー の言葉に、
結果的に さらに痛い所を突かれて、

ふき の顔面は これまでになく、
深く 青黒く なっていくのでした。






うん。 まあ…

とりあえず
よく分かったわ ふき


あんたが自慢していた
『夢』 ってのは、

形になるかどうかは二の次の、

成功したときの自分を妄想して、
ちょっとの間、
今のミジメな自分を忘れて
ニヤニヤするだけのための代物


…て とこかしら?


「宝くじ」 とかと どこが違うのか、
説明してもらいたいんですけど?





ネック は、

そんなイヤミを言いながら
ふき の顔をのぞきこむのでした。






当の ふき は、

白目をむいて
気絶しておりましたが…



      
















あー… まあ、

あたしにも言いすぎなとこが
あったかもしんないけど、

あんたも気絶なんか
してんじゃないわよ、ふき




ネックは、

目覚めてようやく落ち着いた ふき に、

そんな 反省のような文句のような
言葉をこぼしました。






しかし…

ふきくん のお持ちの 「夢」、

実現までの道は
まだまだ遠そうですね…



ミューラー が、

とても残念そうに
首を左右に振っています。






ただ、今回の件で、

私が人間さんたちの 「夢」 について
勉強していたときに感じた
違和感 の正体が、

ちょっと 分かったように思います。





…違和感?



トンビ紳士の発した言葉に、

うなだれていた ふき
頭を上げました。








[章の 目次 に戻る]