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第3章『しあわせ の「正体」』→ マズローの 欲求5段階説 |
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『マズローの 自己実現理論』… 別名『マズローの 欲求5段階説』の ピラミッドの頂点 は、 | |
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その名もズバリ、 『自己実現 欲求』です。 | |
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『自己実現』を、 あらためて 少し難しい言葉で 説明しますと、 「人が、自己の内に潜在している 可能性を最大限に開発し、 実現して生きること」… です。 | |
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「自分の適性」を 把握して、 それを伸ばし、 「自分が本当に望むこと」を 実現する生き方 … とでも 言いましょうか? | |
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『自分らしく生きる』… みたいな感じですね。 | |
ミューラー は ニッコリと うなずきました。 | |
その通りです。 自分の「基本的な生存」 に 関しての さまざまな心配事や問題 に わずらわされなくなって 初めて、 心の底から真剣に 『自分らしい 人生の使い方』 に 打ちこめる… | |
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その状態を 「自己実現」と 呼び、 それを求める心が 『自己実現 の 欲求』 なのだと思います。 | |
『自分らしく生きる』… たしかに、 これより上の「幸せ」など 想像もつきません。 たとえば ふき の 場合であれば、 「自分の心から作りたいゲームを、 売り上げなど気にせず、 ただ プレイヤーたちの喜ぶ顔を 見るためだけに 作り込んでいける人生」 が それでしょうか? そんな環境になれた自分を 想像するだけで、 ふき は 身ぶるいがする のでした。 一方で、 まだまだそんな環境には ほど遠い、 今の「現実の自分の日々」を あらためて思い知らされて、 なんとも言えず ミジメで悲しい気持ち にも なるのでした… |
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『自分らしく生きる』 って 言ったら… 今の あたし なんかが まさに それなんじゃないの? | |
ネック の そんな言葉に ミューラー は ほほえみつつも、 このように訂正しました。 | |
もちろん、 今の ネックさんは こうして ふきくんの お家に住むことで、 「生存」「安全」は ほぼ完璧に保証されている と 言えます。 | |
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ただ、 ネックさんたち「猫」は、 社会構造を持たない生物 です。 「同属との関わり合い」が 希薄か 皆無なのが、 むしろ当たり前 な 生き物なわけですね。 | |
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「社会」が 無いため、 『欲求5段階説』の 3〜4段目あたりから上の欲求 も また存在せず … 「自己の生存と安全」が 保証された時点で、 ある意味 「幸せ」も 完結 します。 | |
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でも それは、 『自分らしく生きる』 のとは、ちょっと違う のではないでしょうか? | |
ミューラー の 説明に、 ネック は「たしかにねぇ」と、 ほほえんで うなずきました。 | |
「社会」ってやつが… 自分と誰かを比べる場所 が 無けりゃ、 「自分らしく」も へったくれも 無いものね。 | |
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あと 考えてみると、 あたしら動物が「幸せ」に 生きれるかどうかは、 今の世の中、 人間ども次第 だもんね。 | |
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というわけで ふき、 これからも 「あたしに認めてもらえる」よう、 ちゃーんと あたしの お世話すんのよ? いわゆる『承認欲求』よ? | |
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いやいやいや、 別に「ネックさんに 認めてもらうこと」だけが 僕の承認欲求では ありませんので。 | |
…と 思った ふき でしたが、 また ネックに チョッカイを出された上に 逃げられる のも悔しいので、 精一杯 憎らしい笑顔で 同意しておきました。 ミューラー や かみね も、 察して 苦笑していますが。 それにしても、 『マズローの 自己実現理論』… なんと 不思議で面白い 物の見方 でしょう。 この「ピラミッド構造」を 頭に入れて 世の中を見回してみると、 さまざまな「幸せ」の正体 や、 人々の心理の背後にあるもの が 透けて見えてくる気が、 ふき にも するのでした。 |