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第5章『「DNAの生存本能」で「世の中」を考える』→ DNA の 生存本能で、『敵・味方』を 考える |
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たとえば、ネックさん が 例に挙げられたような、 『刃物や拳銃を持って 攻撃してきた』り、 『目の前で ふきくん の 大切な貯金を 今まさに 盗もうとして いるような相手』 であれば… | |
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ふきくん だって 即座に、 『こいつは「敵」だ!』 と 明確に認識して、 戦ったり、 捕まえたりしようと 必死になる のでは ないでしょうか? | |
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いーや、 いずれのケースでも、 ふき は「逃げる」ね。 両手をバンザイの形にして 『 ギャーー 』とか悲鳴あげて、 スタコラサッサと、ね。 | |
( はいはい、 どうせ そうでしょうよ… ) さすがに ネック のチョッカイにも 慣れてきた ふき は、 今回は もう、 スルーしました。 | |
でも 逆に、 すぐには死ななくても、 少しずつ 「健康を損なわせ」たり、 気づきにくいぐらい 少しずつ、 しかし延々と、 「お金を かすめ盗り続け」たり… | |
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人間さんたち同士の 「信頼」を 少しずつ破壊して、 「社会的・文化的な 団結力や集団力を、 無に帰してしまう」、 そんな 『気が付きにくい敵』も、 世の中には 存在するのです。 | |
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この場合、 パッと見に 大きな支障が出ていないので、 なんとなく そのまま、 放置してしまいがち ですが… | |
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気づきにくく、 根深い分、 本当の意味で、 恐ろしい『敵』 だとは 思いませんか…? | |
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そ、そんな敵が いるんですか…?? | |
仰天する ふき に、 ミューラー が 深くうなずきました。 | |
はい。 たとえば 最初の 「健康被害」であれば、 『 環境や人体に まったく考慮していない 人工物が出す、 なんらかの害や汚染 』 『 いいかげんな生産をされた 食べ物・薬など 』 が ありますし… | |
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「お金をかすめ盗り続ける」 ものとしては、 『 労働内容に見合わない 低賃金を強いる、経営者 』 『 不必要に過剰な、税金 』 などが 思い浮かびます。 | |
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「人々の信頼関係を破壊し、 ときに その人生までも 台無しにしてしまう」 敵としては、 『 聞こえのいいウソで、 人々に甘い夢を見せて お金を巻き上げる 詐欺師 や カルト団体』 『 自社の主張を 民衆に押しつけるために、 数々の「情報操作」を仕掛けてくる 一部のマスコミ 』 などが 代表格でしょう。 | |
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そーゆーのが、 実は ジンワリと、 ふき の 健康や 命や 人生を おびやかしてる かも しんないんだよね。 | |
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ふき が 気づけないぐらい、 少ーしずつ… 少ーしずつ、ね… | |
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人間さんたちの 社会には、 そんな 怖いこと も あるのですね… | |
かみね が、 おびえるような顔つきで、 前足で、自分の胸を ギュッと おさえました。 |
ミューラー たちの話が一段落し、 ふき は 腕組みをしたまま 考え込むのでした。 もちろん ふき も、 そうした 『見えづらい敵』について、 まったく知らなかった わけではないのですが… その敵の存在が あまりにボンヤリとして 不明瞭 なので、 恐ろしい一方で 対処の仕方も見つからず、 どちらかといえば、 なるべく 深く考えないようにしながら、 毎日を送っていた 気がします。 また、そうした不明瞭な ウップンや不安が たまりすぎたときは、 『 政治家どもは! 』 『 マスコミどもは! 』 『 世の中のクズどもは! 』 といった感じに、 非常に大ざっぱなククリで 「敵」を想定 して、 ネット上などで それらを罵倒して、 ストレスや不安を解消する… というのが、 今までの ふき の やり方だったのです。 でも、あらためて 気が付いてみると、 そんな ウップン晴らし なんて、 何の役にも立たない 『問題の 先送り』 に すぎないのではないでしょうか? 「見えづらい敵」を、 見えづらいから といって 放置するのではなく、 『 見えづらいけど、 間違いなく実在する敵 』 として 強く認識 し、 自分なりの 「なんらかの対処」を していかないかぎり、 『敵』は、 ゆっくりですが 確実に、 ふき の生活を… 命(DNA)を… 圧迫してくる のです… まるで、そう。 病気の『 ガン 』のように… ふき は 今さらながらに、 そうした『敵』に対して、 うすら寒いもの を感じるのでした。 すると、 そんな ふき を、 ジッと見つめていた ミューラー が、 こんな話を 始めたのでした。 |