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第5章『「DNAの生存本能」で「世の中」を考える』→ DNA の 生存本能で、『敵・味方』を 考える |
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ただ、ふきくん。 見えにくい、 気づきづらいのは、 なにも『敵』ばかりでは ありませんよ? | |
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自分にとっての 『 味方 』にも、 意外に 気づきにくい ものがある のです。 | |
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気づきにくい… 『 味方 』…? | |
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はい。 たとえば、ふきくんは、 お若い頃に、 「ご両親」や「学校の先生」の おっしゃることに対して、 『大人なんか、ウゼー (うるさい)だけだぜ〜!』 などと お思いになったことは ありませんか? | |
「ぐがっ!」 ふき が、奇怪な声をあげて 硬直しました。 どうも、 そのものズバリの 経験がある ようです。 | |
あるいは、 「会社の上司」さんから 教育やアドバイスなどを 受けているときに、 『いつまでも俺サマを 「半人前あつかい」 しやがって!』 などと、 不愉快に思っていた ことはありませんか? | |
ふき が、前かがみに丸まって 震えています。 どうも、 ふき の かつての 『若気の いたり』に クリーンヒット したようですね。 ガクガク 震えている ふき を 見て、 ミューラー は あわてて 付け加えました。 | |
あ、いえいえ、 ふきくん! そうしたことは、 若い頃には 大なり小なり、 誰にでもある ものです。 | |
そして、ふき の 肩を 羽根で やさしく ポンポンと たたきながら、 こう 続けました。 | |
重要なのは、 そうした 「過去の 大人たち」 の 言葉 を… | |
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今 現在、 「自分も大人になった ふきくん」が、 どう感じているか? なのです。 | |
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い、「今 現在」… ですか? | |
ふき は、 ちょっと青くなった 顔を上げて、 考えてみました… | |
そうだなぁ… 『必ずしも 全部が全部、 「大人」や「先輩」が正しいって わけじゃなかった』 ですよ。 | |
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それは、 自分が「大人の知識を 持つようになった」後に、 あらためて 思い返して 考えてみても、 感想は 変わりません ね。 | |
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ただ、 自分自身が 「大人」や「先輩」になって、 アルバイトとはいえ 「部下」や「後輩」を 持つようになってみると… | |
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『あのときの 大人たちの いろいろな言葉や知識の 何割かが、 「問題解決のヒント」 に なったり、 「今の自分を作ったり」、 支え続けていたりしたところも あったのかなぁ…』って、 しみじみと思うことは、 ありますね… | |
ネック が 前足で、 ふき の 横腹を トントンと たたきました。 | |
つまり、 「周りの大人」が あんたに、 『「一人前」に なるための知識』を 伝えてくれたわけだ? | |
ふき は、ちょっと 考えこんだ後、 何度か コクコクと うなずきました。 そんな ふき を 見ていた かみね が、 急に、うれしそうに こう言いました。 | |
わたし、 分かっちゃいました! ミューラーさんの おっしゃる 『 気づきにくい 味方 』 が、何なのか。 | |
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かみね の その言葉に、 ミューラー も、 ひときわ うれしそうに、 うなずきました。 | |
その通りです、 かみねさん。 「気づきにくい味方」 とは、 『自分の生存確率を 上げるための、 「様々な知識」を 与えてくれた、 自分の周りの人々』 のことなのです。 | |
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若い頃の ふきくん には、 あるいは『敵』に 見えたかもしれない、 そうした 周りの 年長者たち が… 実は、 代えがたい『味方』 であったかも しれないのです… | |
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中には、 「すぐには 効果が 発揮されなかったり」、 「教えを受けた当時は 理解できなかったり」 した知識 も、 あったかもしれませんが… | |
言われて ふき は、 「自分が 今までの人生で 得てきた、さまざまな知識」 について 振り返ってみました。 考えてみれば、 自分が今 持っている知識の ほとんど全部 は、 自分で見つけた わけではなく、 『どこかの誰かから 教わった』 あるいは 『伝え聞いたもの』 ばかりです… ときには 直接、面と向かって 、 ときには、 本やテレビ・ネットなどの メディアを通じて 間接的に … 「この世界で 生きのびる ための知識」を、 自分に与えてくれた 他人たち… 気づきにくいけれど、 彼らは「今の ふき」を 作ってくれた、 『大切な 味方』であった と 言えるのです。 そう考えたとき、 この世の中には、 なんと多くの『味方』が 存在するのでしょう… ふきは この世界に、 今まで感じていたより さらに ほんの少し、 「あたたかいもの」を 感じずには おれないのでした。 |
「本当の敵」「本当の味方」 を 見抜けるかどうか… それは、あなたの人生を 大きく左右します。 今の自分にとっての、 「都合のいい 味方」 「都合の悪い 敵」 ではなく… 厳しくも 現実に向き合い、 「将来的に」 あなたの生存確率を 上げてくれる『味方』や、 『うわべだけのキレイ事で ゴマかして、 現実の問題を先送りにさせ、 「将来的に」 あなたの生存確率を 下げてしまう『敵』を、 どうか、 見抜いて行ってくださいね。 |