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第5章『「DNAの生存本能」で「世の中」を考える』→ ミューラーの、思い出の岩場 |
同じ地球に 住みながら、 日々、「目先の生存」だけに 躍起になって生きている 自分たち トンビ とは違い、 さまざまな知識と文化 を 産み出し、 それを「社会」の中で 共有している、 『人間』という 偉大な生物たち… その人間の1人である 「ふき」と、 「人間並の知識を得た 自分」が 再会 することで、 これから起こるであろう、 『意義深い日々』… そのことを考えると、 ミューラー の 胸は、 今までの人生(?)でも 味わったことのないほど、 ワクワク感 と 使命感 に 燃え上がらずには おれないのでした。 | |
それでは、 行きましょう。 ふきさん の お家は、 ここから北に ずーっと 60キロほど 行ったところだそうです。 | |
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ちょっと 遠いですが、 ミューラーさん なら、 うまく風向きが合えば、 30分も かからないのでは ないでしょうか? | |
ミューラー は すかさず頭の中で、 自分の飛行速度と、 ふき の 住む町までの 距離を 暗算 し… かみね の 見積もりに 間違いが無いことを確認して、 ほほえみました。 | |
私は、 先に帰った 師匠 から、 (キツネの おじいさん) 他の準備のために 一度 社(やしろ)に戻るよう 言われていますから、 ふきさんの お宅には 後ほど お伺いする ことに なってしまいますが… | |
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途中までは、 ごいっしょさせて いただきますね。 | |
ミューラー は、 再び ニッコリと うなずきました。 そして、 これから2ヶ月ほど 別れ別れになってしまう 自分の 妻 に近づくと、 いたわるように やさしく、 ほおずり をするのでした。 ただのトンビである ミューラーの お嫁さんは、 「よく分からない」 といった顔をして、 首をかしげております… そんな お嫁さんに 背を向けた ミューラー は、 後ろ髪をひかれる気持ちを ふりきるように、 大きく羽を広げて、 飛び立つ体勢 に 入ったのですが… そのとき、 「あ…」 と つぶやいて、 とまっている枝の上で、 その動きを 止めてしまいました。 |