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第5章『「DNAの生存本能」で「世の中」を考える』→ ミューラーの、思い出の岩場 |
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はい。 ふきくん が うつむいていたので、 よくは見えなかった のですが… | |
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彼は なにか、 とても 大きなショックを 受けている ようでした。 | |
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「何をしているんだろう?」 と 不思議に思い、 そのまま上空から 眺めていたところ、 突然、ふきくんは、 リュックから 「コップ」を取り出し… | |
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この、柱のような岩の てっぺん… この、大きな「くぼみ」に たまっていた海水を、 猛然と かき出し始めた のです。 | |
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ところが しばらくすると、 ふきくん は 水をかき出すのを ピタリと やめて… とても 悲しそうな 顔つき で、 しばらく、 「くぼみ」の水面を 見おろしておりました… | |
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そして 今度は 不思議なことに、 海から 岩の「くぼみ」に セッセと海水を 入れ直して、 やがて、ガックリと 肩を落としたまま、 海辺の細道を トボトボと帰っていって しまったのです… | |
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かみね は、 ミューラー の 語る昔話の つかみどころの無さ に、 ちょっと どう反応していいのか 分からず、 無言で その顔を 見つめました… 話し終わった ミューラー は、 また、とても遠くを 見るような目になり、 「柱のような岩」を、 翼で しずかに なでるのでした。 | |
当時の私は、 まだ、人間さんたちのような 知能や知識を持たない、 「ただの鳥」だったので、 『 そのとき ふきくん が 何をしていたのか? 』 など、 理解できませんし、 そもそも 考えもしませんでした… | |
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でも、 キツネの おじいさん に 選ばれて、 人間さんたちのような 「高度な思考」を 与えられたとき… | |
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『 あのときの ふきくんが、 何に あれほどのショックを 受けていたのか 』…? そして、 『あんなに必死に、 何をしようとしていたのか』…? を 理解して、 とても 大きな驚き を 得たのです。 | |
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