■ ふき の悟りと、ネック の告白(5/9)






かみね は 驚いて、
ふき を 見つめました。


ネックミューラー は、

ふき の 次の言葉を、
静かに待っています。


    






以前に ミューラーさん が してくれた、
『 恋 』 についての話 を、

ジックリ考えてみて
気づいたんだけど…


死は たしかに、
「DNA の入れ物」 である
僕ら自体の消滅ではあるけれど、

自分の 『 DNA の コピー 』が
残っていれば、

「完全な消滅」 には
ならない
と思うんだ。





つまり、僕自身が死んでしまっても、

僕の DNA を持った子孫たちが、
遠い未来まで生き残っていくかぎり、

僕の DNA は、
「消滅」を まぬがれ続けていく

と 思うんだよね。



それって、実は、

『 永遠の命 』 みたいなもの…

なんじゃないかな?





でも、

いくら DNA が残ったって、

「僕の肉体」自体が
無くなってしまう
ことに
変わりはないから…


僕が 『 自分の体で
おぼえた技術 』 なんかは、

僕の死と同時に、消えてしまう

ことになるよね…





ふき は、そこで一度、

ちょっと悲しそうな顔をしました。


    







でも もし、

DNA だけじゃなくて、

「僕が学んだこと」、
「僕が身に付けた技術」
を、

自分の子供たちに
シッカリと伝えて
残すことができれば…





その子たちの中で、

僕は生き続けているようなもの

なんじゃないかな…?


『 知識 』 や 『 技術 』に、
姿を変えて…
ね。







て いうか、考えてみると、

これって、「自分の子孫」 に
かぎったことじゃないんだよね。


「教師や上司が、
生徒や部下たちを教育する」
のも、

「師匠が弟子に、
技術を伝授する」
のも、

「芸術家やクリエイターが、
ユーザーに作品を提供する」
のも…





実は その背景には、
「生存本能」 による、

『 自分の 「心」 を 残したい! 』
『 自分の 「心」 を 広めたい! 』


みたいな、根源的な欲求が…


自分の死を、
単なる 『 リセット 』 で
終わらせたくない
っていう

ものすごく強い、切実な、
『 永遠の命 』 を 求める思い が…

そこには、あったんじゃ
ないかなぁ。





だから、人間にかぎらず、
生物たちは皆、

自分の子供を育てたり
教育したりすることに、

あれだけ必死になる

のかも しれないなぁって…


最近になって、ようやく
気がつけた気がするよ…





子育ての経験のある ミューラー が、

「うんうん」 と うなずきました。









そして、僕自身も、

「ずっとずっと、ずっと昔の
ご先祖さまたち」
からの…

それこそ、まだ人間にも
進化していないような、

「猿人や、魚だったころの
先祖も含めた生物たち」
からの、


『 自分は生きのびることが
できなかったけれど、

子孫である お前は、
自分の代わりに
生きのびていってほしい… 』


という 切実な思いを受け継いで、
今、ここにいるんだなぁ… って、





これまでの話と、

この1週間の実践で、

ようやく、しみじみと
分かった気がするよ。








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