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第8章『将来 100%滅亡する、われわれ「生物」1』→ 生物滅亡の原因は『パンデミック』(感染症)? |
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そういえば ふきくんは 先ほど、 「ニュースなどで 騒がれていた感染症も、 しばらくすると沈静化して 報道されなくなる」ので、 『感染症で 生物が絶滅する という話には、実感が無い』 と、おっしゃって おいででしたが… | |
考えこんでいる ふき に、 ミューラー が 思い出したように、 こんなことを 語り出しました。 | |
そのように 感染症の被害が沈静化 した 陰(かげ)には、 『多くの 医療関係者さん たちによる、大変な努力』 が あったことも、 忘れるべきではないのでは ないでしょうか? | |
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医療関係者さんの、 努力… ですか? | |
ミューラー は 例のごとく、 静かに うなずきました。 | |
はい。 「感染症が 勝手に減る」 ことはありません。 それを減らすための、 ときに『命がけ』の 人間さんたちによる努力 が あったからこそ… | |
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『感染症の 沈静化』 に 成功し、 報道しなくても済む ようになっていく わけですから… | |
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たとえば、 先ほども お話しした 『エイズ』です。 かつてに比べて、 かなり 薬による抑制が 効くようになり、 現在では 必ずしも、 「エイズ=死」 というわけでは なくなってくれている そうですが… | |
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今日の この状況に いたるまでに、 これまで 実に、 4000万近い方々が エイズによって 命を落としている そうです。 | |
死亡者が 4000万人!? そういえば ふき は、 「沈静した後」の 安心感ばかりに 目が行ってしまい、 『今までに』 エイズによって どれだけの人間が 死んでいたのか を、 深く考えていませんでした。 | |
そんな恐ろしい 「エイズ」が、 今では、 『 確実な死の病 』では なくなっている… | |
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それは、 名前も ほとんど 表に出てこないような、 数多くの医療関係者さんたち の、 『血の にじむような努力』 が 積み重なった結果 と 言えます。 | |
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昔から、 このような人々が、 人間さんたちを 『絶滅の危機』から 救い続けていた のだと思うと… | |
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私は とても不思議で、 ありがたい気持ちに、 ならざるをえない のです… | |
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ふき も 同感でした。 そして、 子供の頃に読んだ、 『 野口英世(のぐちひでよ)』 という お医者さんの伝記を 思い出したのでした。 感染症の1つである 『 黄熱病 』の ワクチン研究に 大きく貢献しながら、 その完成を見る前に、 自らも黄熱病にかかり、 無念の死をとげた 「野口英世」… 彼が いなければ、 今でもアフリカや 中南米の人々は、 黄熱病による死に おびえながら 暮らしていたかもしれません。 また、人類史上 初めて 「根絶」に成功 した 『天然痘』(てんねんとう)も、 医師「エドワード・ジェンナー」の 不断の努力なしには 語ることはできないでしょう。 (最初の実験を 「使用人の子供」で 行った点には 疑問もありますが) このように、 「野口英世」や 「エドワード・ジェンナー」は、 よく伝記になっているので 比較的 有名 ですが… きっと、人間の 長い歴史の中では、 「今の世の中の誰も 名前を憶えていない 医療関係者」が 何人も、 そうした感染症の 発見や撲滅のために、 命や人生を ささげていた はずですし… その研究の過程で、 多くの 実験動物たち も、 その命を、人間のために 使わせてくれていた はずです。 そうした 名もなき偉人や、 動物たちのおかげで、 あるいは、今の自分の 命があるのかもしれない… と 考えると、 ふき には、 彼ら全員が、 『 自分の恩人 』に 思えて 仕方ないのでした。 | |
ちなみに 今回は、 個体数のデータがあって、 被害が分かりやすい 「人間さん」たちについて、 『感染症』の お話を しましたが… | |
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もちろん、 われわれ動物のような 「人間さん以外の生物」にも 『感染症』は 存在します。 | |
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私たち動物は、 当然ながら、 ワクチンをつくれる知能を 持っていません。 ですから、ひとたび 自分たちの種族に 『パンデミック』が 発生してしまった ら… | |
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「人間さん」たち に 救っていただかないかぎり、 いつ 絶滅しても おかしくはない のです… | |
われわれ生物は 皆、 常に『パンデミック』による 絶滅の危険と 隣り合わせ である… そして、 それを 阻止・回避 できるのは、 現段階では、 『人間』だけ… ふき は その事実に、 あらためて、 しみじみとした「怖さ」と、 『責任』を 感じるのでした。 |
自分たちの生存のために、 ただただ まっすぐに行動する 『 ウイルス 』という存在は、 ある意味、とても 『 DNA的 』とも言えます。 彼らの行動は、 好意的に見れば 「 悪意が ない 」 とも取れますが、 一方で、 『 無思考ゆえの、 歯止めの無さ 』 という怖さも 持ちあわせています。 人間さんたちにとっても、 『いろいろと 象徴的な存在』… と 言えるのでは ないでしょうか? |
【2020年 6月28日 追記】 このページを書いたのは、 2018年 9月 だったのですが、 それから わずか1年ちょっとで、 『新型コロナ』 (COVID-19)の 猛威によって 世の中がガラリと 変わってしまった のは、 本当に色んな意味で 感慨でした。 一時期ほどの混乱は 無くなったものの、 いまだにワクチンは 発見されておらず、 人々は目に見えてイラ立ち、 攻撃的になっております。 本当に、 『滅亡』というものは、 いつの時代も 我々の すぐそばに あるものなのだな… と、 あらためて 再認識しています。 いつか、 今 直面している困難を、 「こんな大変な時代も あったけど…」と ほほえんで 語り合えるような日が 来ることを祈りつつ… 「今 自分のできること」を探し、 「ヤケをおこして 歩みを止めない」ように、 心がけるばかりです。 |