サイト『生きる意味の「正体」教えてやるにゃー』→
第8章『将来 100%滅亡する、われわれ「生物」1』→ 生物滅亡の原因は『天体衝突』? |
| |
ちょっと待って、 ミューラーさん。 本当に その小惑星は、 「10〜15キロメートル」 だったの? | |
| |
はい。 人間さんたちが 研究されている資料などを 読むかぎりでは、 そのように考えられて いるようです。 | |
『 小惑星 』とは、 火星から木星の 間ぐらいの距離 を 中心にただよう、 惑星と呼ぶには小さすぎる 巨大岩石たち ことです。 しかし たしか、 その直径 は… | |
大きな小惑星になると、 たしか 『ケレス』なんかは、 950キロメートル ぐらい あったはずだよね? | |
ふき の 言葉に、 ミューラー は「おお!」と 目を輝かせました。 | |
その通りです、 ふきくん。 『ケレス』は 現在は、 その大きさから 「小惑星」ではなく 「準惑星」に分類 されて いるそうですが… かつて「小惑星」と 呼ばれていた天体の中では 最大のもの になります。 | |
| |
次いで、 『パラス』(520キロ) 『ベスタ』(500キロ) 『ジュノー』(234キロ) などが、代表的で大きな 小惑星になりますね。 | |
| |
しかし、 ほとんどの小惑星は、 直径100キロにも 満たない のだとか… そんな小惑星たちが、 現在、軌道が分かっている ものだけでも 30万個以上 も 発見されているそうです。 | |
こういう知識を語るときの ミューラー は、 本っ当に イキイキ しているよなぁ… と、 ふき は 話を聞きながら ちょっと苦笑するのでした。 | |
ただ、この話を聞いて、 ふき の 不安は 増大しました。 恐竜時代に、生物を ほぼ絶滅させた小惑星 は 10〜15キロメートル だったそうですが、 小惑星「ケレス」の 直径は、 それとは 比べ物に ならないほど巨大 です。 それに、 分かっているだけでも 30万個以上 もの 小惑星が、 この太陽系を 飛び回っている という事は… その中の どれかが 地球に ぶつかり、 再び『生物絶滅』の 危機が訪れる可能性も あるのではないでしょうか? ふき が、 そんな自分の不安を おそるおそる打ち明けると、 ミューラー の 回答は こうでした。 |
| |
まず、 「ケレス」のような 大きな小惑星に ついてですが、 これは 心配する必要は 無いものと思われます。 | |
| |
というのも、 質量が大きいだけに 軌道も安定している ので、 予想外のコースを進んで 地球に激突するといった ことにも ならないのです。 | |
| |
ただ、 仮に 「ケレス」のような 大きな小惑星 が 地球に ぶつかったとしたら、 恐ろしい事態に なってしまう でしょう… | |
| |
『K-Pg境界』のときの隕石 を 仮に「直径 13キロメートル」 とした場合、 ケレスの直径は その 73倍 もあるため、 質量は、実に 39万倍 にも 及びます。 | |
| |
そんな代物に 激突などされたら、 地球は それこそ えぐれて 形が変わってしまう かもしれませんし… そんな事態になったら、 もはや 生物の存続は 絶望的 でしょう… | |
「ケレス」のような規模の 小惑星 が ぶつかれば、 地球の生物は まちがいなく絶滅 しそうですが… とりあえず、 そうした 巨大小惑星による 衝突の危険性だけは 低そうだ と 分かり、 ふき は 胸を なでおろしたのでした。 ところが… | |
ただ、 私は思うのですが… むしろ、サイズの小さい 小惑星のほうが、 はるかに 危険度が高い のでないでしょうか? | |
ちょっと安堵していた ふき に、 ミューラー が そんな 気がかりなことを 話しはじめたのです。 | |
と 言うのも、 サイズの小さい小惑星は、 質量も軽いので、 他の惑星の近くを 通ったときに その引力の影響を受けて、 それまでと 異なるコースを たどるようになる 恐れがありますし… | |
| |
小さいせいで、 光度も低く、 (星として暗く) いまだに 人間さんたちに 発見されていない 場合も あるからです。 | |
| |
そうした天体が、 不運にも 私たちの地球の 軌道の近くに まぎれこみ、 ある日 頭上から 降り注いだら… | |
| |
われわれ動物は もちろん、 今の 人間さんたちの 科学力を もってしても、 まず、防ぐ手立ては 無いでしょう… | |
ふきたちは、 その光景を想像して、 静まり返ってしまいました… |
| |
そんな ヤバい隕石、 いつ 降って来んのよ? ミューラー。 | |
ネック も 怖くなってきたのか、 ソワソワしながら、 ミューラー に そんな事を たずねました。 | |
はい、 こればかりは 推測 に なってしまいますが… | |
| |
中生代の生物たちを 絶滅寸前まで 追いやった ような、 直径 10キロほどの隕石 の 場合、 1億年に 1回 程度… | |
| |
衝突後に、地球規模の 気候変動を起こす、 直径1キロほどの隕石 であれば、 100万年に 1回 程度 ではないか… と、考えられているようです。 | |
| |
また、 「生物絶滅」・「気候変動」 とまでは行きませんが、 地上の 半径20キロほどを 消し飛ばす ような、 直径 50メートル程度の 隕石 になると、 1000年に1回 ほどの 結構な頻度で、 地球との衝突の危険が あるそうです… | |
| |
ちなみに、5万年前に、 今でいう「アメリカ大陸」に 落下して、 今も大地に 直径 1.2キロメールもの クレーター を 残している (バリンジャー・クレーター) 『アリゾナ隕石』は、 まさに この規模 (直径 30〜50メートル) であったと推測されています。 | |
この世の終わりになるような 「絶望的な隕石」の 衝突 は、 100万年や、 1億年に 1回 … しかし この数字は、 なんの安心感も もたらしません。 明日にでも、 今まで発見されていなかった 小惑星の接近・衝突が、 判明するかもしれませんし… あるいは、今までは 大丈夫だった小惑星が、 他の惑星に揺さぶられて、 気まぐれに地球に牙をむく かもしれないからです。 子供の頃、 星好き だった ふき は、 夜空を見上げるのが 大好き でした。 でも 今、 この美しい夜空の どこかに、 われわれ生物を 絶滅させかねない小惑星 が、 人間に発見されないまま、 暗い宇宙を無言で ただよって いるのかもしれない… と、想像してみると… ズーン… と 背筋が 凍りつくような恐怖 を、 感じずには おれなくなるのでした。 |
宇宙空間をただよう 巨大な岩石の「たった1つ」が、 ほんの偶然 から 地球に ぶつかっただけで、 私たち生物の 暮らしや歴史は、 その瞬間に 『終了』してしまうかも しれない わけです… 考えてみれば 我々は、 この宇宙において、 『本当に 驚くほど ちっぽけで あっけない存在』 なのですね… |