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第8章『将来 100%滅亡する、われわれ「生物」1』→ 月夜の ネック |
そのまま 10分ほど、 いっしょに座って 月を眺めていた 1人と1匹 でしたが… ![]() ![]() ネック が 月を見つめながら、 ポツリと、 こんなことを言いました。 | |
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…どーして、 「あたし」なのかなぁ… |
ふき が、 意味が分からず、 キョトンとしていると、 ![]() ネック が 独り言のように、 こう 続けました。 | |
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ほかにも 猫は いっぱい いるのに… どうして、 この あたしが、 『ガン』なんかに なっちゃったんだろう…? |
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ふき は、 自分の体が ギクンと 固くなった ような気がしました。 | |
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あたし… 別に なんにも 悪いことしてないのに… |
そんなことを言いながら、 小さく深い ため息をついて 下を向いてしまった ネック に… ふき は 言葉を失いました… ![]() 考えてみれば、ふきは… いや、世の中の ほとんどの人たちは、 「残り寿命が 明確に 分かってしまっている人」 と 話す経験が、 ほぼ ありません。 治る見込み のある 病気やケガなら、 励ましようも あるでしょうが… ネック は、 あと 10日ほどで、 必ず その命を 終わらせてしまう のです。 猫とはいえ、 わずか 4年 しか 生きられない ネック に、 こんなとき、 かけられる 「適切な言葉」など、 あるものでしょうか…? ![]() ![]() 「死」は、 相手を 選びません… それまでの人生を どんなに 一生懸命 生きていても、 どんなに 立派で すばらしく、 思いやりに満ちた日々 を すごしていても、 そんなことに まったく関係なく、 偶然に訪れる のが、 『「死」というものの 不条理さ』なのです… | |
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で、でも… |
そのとき ふき は、 ようやく 1つだけ、 ネック に 『未来』があること を 思い出しました。 |