サイト『生きる意味の「正体」教えてやるにゃー』
第8章『将来 100%滅亡する、われわれ「生物」1』
月夜の ネック


■ 月夜の ネック(2/4)

『どーして
「あたし」なのかなぁ…』





そのまま 10分ほど、

いっしょに座って
月を眺めていた
1人と1匹
でしたが…


  




ネック
月を見つめながら、

ポツリと、
こんなことを言いました。






…どーして、

「あたし」なのかなぁ…





ふき が、

意味が分からず、
キョトンとしていると、




ネック
独り言のように、

こう 続けました。




ほかにも 猫は
いっぱい いるのに…


どうして、
この あたしが、

『ガン』なんかに
なっちゃったんだろう…?





ふき は、

自分の体が
ギクンと 固くなった

ような気がしました。





あたし…

別に なんにも
悪いことしてないのに…





そんなことを言いながら、

小さく深い
ため息をついて

下を向いてしまった
ネック に…


ふき
言葉を失いました…







考えてみれば、ふきは…

いや、世の中の
ほとんどの人たちは、


「残り寿命が 明確に
分かってしまっている人」


と 話す経験が、
ほぼ ありません。




治る見込み のある
病気やケガなら、

励ましようも
あるでしょうが…


ネック は、
あと 10日ほどで、

必ず その命を
終わらせてしまう
のです。




猫とはいえ、

わずか 4年 しか
生きられない ネック に、


こんなとき、

かけられる
「適切な言葉」など、
あるものでしょうか…?



  





「死」は、
相手を 選びません…



それまでの人生を
どんなに 一生懸命
生きていても、


どんなに
立派で すばらしく、
思いやりに満ちた日々

すごしていても、


そんなことに
まったく関係なく、
偶然に訪れる
のが、


『「死」というものの
不条理さ』
なのです…







で、でも…




そのとき ふき は、

ようやく 1つだけ

ネック
『未来』があること

思い出しました。






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