サイト『生きる意味の「正体」教えてやるにゃー』→
第8章『将来 100%滅亡する、われわれ「生物」1』→ 月夜の ネック |
ネック は、 ちょっと驚いたように、 ふき のほうを 見上げましたが… しばらくすると、 また 前を向いて、 少し 安心したような ため息を もらしたのでした。 | |
ふき… 「長く生きること」 だけが、 『しあわせ』や 『生きる意味』って わけじゃないよ? | |
ふきは もう、 何も言えませんでした。 そして、 自分の体が、 小さく ガタガタと 震えていることに 気がつきました。 人は、 『本当に大切なものを、 永久に 失う』 と 実感したとき、 「涙」ではなく、 心の底からの『震え』が わきあがるのだ と、 ふき は、今、 初めて 知ったのでした。 | |
ふき … あたし、この家に来て 本当に良かったよ。 イヤミじゃなく ね。 | |
そう言って ネック は、 ふき の 膝の上 から、 ガラスの向こうの 美しい月 を、 しずかに 見上げたのでした。 | |
懐かしいねぇ… ふき。 「あの頃」を 思い出すよ… | |
そんなことを、 ふき に 聞こえないような 小声で つぶやきながら… | |
| |
|