サイト『生きる意味の「正体」教えてやるにゃー』
第8章『将来 100%滅亡する、われわれ「生物」1』
月夜の ネック


■ 月夜の ネック(4/4)

『懐かしいね、ふき…』





ネック は、
ちょっと驚いたように、

ふき のほうを
見上げましたが…






しばらくすると、
また 前を向いて、

少し 安心したような
ため息を もらしたのでした。







ふき


「長く生きること」
だけが、

『しあわせ』や
『生きる意味』って
わけじゃないよ?






ふきは もう、

何も言えませんでした。



そして、
自分の体が、

小さく ガタガタと
震えている
ことに
気がつきました。






人は、

『本当に大切なものを、
永久に 失う』

と 実感したとき、

「涙」ではなく、

心の底からの『震え』が
わきあがるのだ
と、


ふき は、今、
初めて 知ったのでした。








ふき

あたし、この家に来て
本当に良かったよ。



イヤミじゃなく ね。





そう言って ネック は、
ふき の 膝の上 から、

ガラスの向こうの
美しい月 を、

しずかに
見上げたのでした。






懐かしいねぇ… ふき

「あの頃」を 思い出すよ…




そんなことを、

ふき に 聞こえないような
小声で つぶやきながら…



   






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