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第9章『将来 100%滅亡する、われわれ「生物」2』→ 神話ではない、現実の『ノアの方舟』 |
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ただ… この「移住」には、 「亜光速宇宙船 の 開発」や、 「宇宙旅行自体 の 成功」 以外にも、 実は、さまざまな 「解決すべき問題」が 存在するのです。 | |
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…と、いうと? ミューラーさん。 | |
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まず、亜光速まで スピードを上げるため、 こうした宇宙船は、 『可能なかぎりコンパクト』に 造らなければなりません。 | |
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と いうことは… | |
かみね が、 ハッと 息をのみました。 | |
『全ての生物を 乗せていくことは できない』… という事ですか?? | |
ミューラー が、 沈痛な顔で うなずきました。 | |
物体は、 重ければ 重いほど、 速ければ 速いほど、 加速するために より大きなエネルギーが必要 に なってしまいます。 | |
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ましてや、 宇宙最速と言われる 「光速」まで 宇宙船のスピードを 上げるのは、 並大抵のことではない のです。 | |
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したがって、 宇宙船自体も ギリギリまで軽く… 積めるものも、 最低限まで削る 必要が 出てくるのです。 | |
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まるで… 『ノアの 方舟(はこぶね)』 みたいだね… | |
ふき が 口にした そんな言葉を、 そばで聞いていた かみね が すかさず ネット検索しました。 | |
これですね、 『ノアの方舟(はこぶね)』… 「旧約聖書」などに出てくる 物語の1つで、 人間の堕落 に お怒りになった「神」が、 信心深かった ノアさんの一家に 「立方体の船」(方舟)を 造らせて… | |
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その船に、 ノアさん一家と、 「全ての生物の夫婦を 1組ずつ」だけ乗せて、 それ以外の生き物は 洪水で皆殺しにした そうです… | |
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ああ? かみね。 あんたの先祖は、 そんな ヤバい虐殺 やらかしてたの!? | |
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ちちちち 違います! 私たちは 大洪水を起こすとか、 そんな ものすごい力は 持っていませんっ。 寿命が とても長いだけの、 「よく分からない生き物」 なんですっ。 | |
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というか、 神話だよ 神話。 「作り話」ですよ、 ネックさん… | |
かみね は 真っ青に なっていますが、 当の ネック は 冗談だったようで、 ニヤニヤしております。 |
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『ノアの方舟』自体は、 たしかに 「作り話」ですが… | |
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地球から旅立つ 運命にある 私たち「生物」 にとっては、 単なる「作り話」… 「他人事」では 終わらせられない『切実さ』を 感じさせる物語ですよね… | |
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切実さ… ですか? | |
首をかしげる ふき に、 ミューラー が うなずきました。 | |
「限られた 脱出手段」、 「限られた 輸送量」の中で、 生物を地球外に脱出させ、 他の恒星系に運ぶ以上… | |
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当然 そこには、 『量の 限界』 が 発生します。 | |
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つまり、誰かが、 『生存させるものと、 させないものを、 「選別」する 必要』 が 生まれるわけです。 | |
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それは、 「される側」にとっても、 「する側」にとっても、 悲しく、恐ろしく、 つらい事態 に なるはずです… | |
ふき は、 いつか 自分たちの子孫が 直面するであろう 「その日」のことを思って、 胸が苦しくなるのでした… |