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第9章『将来 100%滅亡する、われわれ「生物」2』→ 資源やエネルギーが足りなければ、 そもそも「地球脱出」すら 不可能 |
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さて、 「移住」に関しての もう1つの問題点は… 『資源 と エネルギー』です。 | |
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ふきくん は、 漫画 や アニメ などで、 船の事故などで、たまたま 『ヤシの木が1本だけ生えた 小さな無人島』に たどり着いた人が、 その島から脱出するために 悪戦苦闘する… といった お話を 見たことがありませんか? | |
ミューラー の 唐突な質問に、 ふき は 首をかしげつつも うなずきました。 さまざまな媒体で、 それと似たような シチュエーションが 描かれてきたということは、 おそらく 昔からの 定番の、 舞台設定の1つ なのでしょう。 そうした物語 では、 だいたい漂着者は まず 最初に、 すきっ腹を満たそうと、 『ヤシの実の 採取』に 挑みます。 地面の石をひろって、 ヤシの実に当てて 落とそうとするなど、 あれこれ試行錯誤… ようやく 実が落ちてきたと 思ったら、 それが頭に直撃して、 目を回したりします。 ヤシの実で お腹が ふくれた ら、 今度は 『無人島からの 脱出』 に 挑戦 です。 ヤシの葉を燃やして ノロシをあげ、 近くを通る船に 助けを求めるも、 無視されてしまったり… ヤシの木を 弓のようにしならせて、 その反動で 自分自身を 矢のようにして飛び立つ も、 大した距離も行けず、 近くの海面に落下した挙句、 サメに追われて 半狂乱で島に帰還したり… 木を加工して作った船 で 航海に乗り出すも、 すぐに 船底に穴が開いて サメに追われて 半狂乱で島に帰還したり… 子供だった ふき は、 こうした物語を 見聞きして、 お腹を抱えて大笑い した 記憶があります。 …でも、ミューラー は どうして、 急に そんなことを 言い出したのでしょう? | |
…考えてみれば 我々「生物」は、 そうした お話 に 出てくる 『漂着者』のようなもの かもしれませんね。 | |
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ど、どういう事 でしょうか?? | |
当然の疑問を口にした かみね に、 ミューラー は、 しみじみと語りました。 | |
『今 自分のいる島の中の 限られた資源 を使って、 別の島や大陸に 辿りつけなければ… | |
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やがて、その島の 資源が尽きたり、 その島自体が 住めなくなったときに、 いやおうなく、 死(滅亡)に いたってしまう存在』… という事です。 | |
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漂着者 は、 ヤシの木を含む 「島にある さまざまなもの」を、 『食料』や『船の素材』として 最大限に活用 し、 なんとかして 別の島に 移らなければ… | |
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島の資源が 枯渇したり、 島自体が 津波などで 住めなくなると同時に、 生き延びることが できなくなって しまいます… | |
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それは、私たち 「地球生物」も 同様です。 この地球や 太陽系の中にある資源を 最大限に活用 しても、 別の恒星系に 移住できなかった 場合… | |
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私たち 生物は、 この太陽系の中で、 ただ『滅亡』するのを 待つだけの存在 に なってしまう事でしょう… | |
ミューラー が、 「移住」が 成功するかどうか の 要因として、 『資源 と エネルギー』 を 挙げた理由が、 ふき にも 理解できてきました。 | |
将来、 僕ら人間の「科学技術」が どんなに進歩しても、 『資源やエネルギー』が それに 足りなければ、 実行しようが無い… という事ですね? | |
ミューラー が、 深く うなずきました。 | |
たとえば 私は 先ほど、 「全ての生物を移住させるのは、 おそらく 不可能です」 と お話しましたが… | |
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それは 結局、 『資源や エネルギーに 限りがある』からです。 | |
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逆に もし、 この太陽系に 『あふれるほどの 資源 や エネルギーが 存在』していたり、 それを 生み出すことに 『人間さんたちが成功』 したとしたら… | |
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言うまでもなく、 移住できる生物の量に、 制限などありません。 | |
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地球が埋まるほど大量の 「宇宙船」を 製造し、 それらに 「全ての 地球生物」 を 載せて、 それぞれが、 思い思いの星に 移住していくことも可能 なのです。 | |
資源やエネルギーの 確保 ができれば、 「仲間の 切り捨て」を 行わなくてもいい のか… ふき は 少し、 地球生物の未来に 希望が出てきたような 気持ち になりました。 ただ、ミューラー は、 また少し表情を固くして、 このように 続けました。 |