■ ふきの 悲しい決断(4/6)





そもそも…




あきれ果てた
という顔つきで、

ミューラー は 続けます。




誰もが そんなふうに
パクり(盗用)合って、

最初にアイディアを
出した人の利益を
尊重しなく
なったら…


バカバカしくて、

誰も 新アイディアなど
出そうとしなく
なってしまう

ではありませんか?





それは いわば、

『 誰も畑にタネをまかず、
先人が まいたタネから
生えてきた野菜を
奪い合っている 』

ようなものです。


その野菜が 尽きたとき、

ただの荒れ地に
なってしまった畑で、

今後 どうやって
収穫を得るというのか…





「会社1つ」にとっては
問題ない
ようでも、

『 ゲーム業界 』全体
にとってはマズい…


て わけだね?





以前に ミューラーさんが
おっしゃられていた、

『 範囲を広げると、
善悪の見え方が変わる 』


という お話
そのものですよね…




会社にとっては「正義」
(生存確率が上がる)
でも、

ゲーム業界全体
にとっては「悪」
(生存確率が下がる)

になってしまう…






ふき は、

会社の同僚との
当時の「話し合い」を
思い出しながら、

寂しそうに続けました。




あれは まさに、

『 岩の柱の「くぼみ」
にいた小魚たち 』を
すくい上げようとしたとき

と 同じ感覚だったよ…





このままだと 高確率で、
会社にとって悪い流れになる

ことが予想されるのに、

それを指摘する「僕」が、

社内の人間には
『 突如 理由もなく、
平穏な会社を
荒らしはじめた存在 』

にしか

見えていなかった
んだと思う…





彼らと
話しているときに、

何度も あの
『 岩の「くぼみ」の中で、
逃げまどう小魚たち 』

僕の脳裏にチラついて、

やりきれない気持ち
だったよ…






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