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第11章『人間は、地球最後の「はかない希望」』→ 「生物滅亡」を回避できるかもしれない 『一縷(いちる)の望み』? |
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前に あたし、 ふきに 言ったよね? 『生物には、 生きる意味なんて無い』 って… | |
そのことは、 ショック だっただけに、 ふき も よく憶えています。 | |
あれって、 実は ちょっと 間違ってんのよ… 「生きる意味」ってのは、 『自分で 作るもの』 なのよね。 | |
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『自分で 作るもの』…? | |
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たとえば、 あたしたち 「猫」なんかも、 毎日を 一生懸命 生きてる よね。 | |
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もしかしたら、 人間ども以上に 一生懸命 かもしれない… | |
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でもね… あたしたちの こんな生き方は、 『生きる意味』とは、 ちょっと違う のよ。 | |
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その通りです。 私たちは、 人間さんたちとは違う… なぜならば… | |
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あたしたちは、 「DNA の 生存本能」… 『自分の 欲求』に、 「振り回されて」 生きてるだけだからよ。 | |
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そんなのは 「ただ 生きてる」だけで、 『意味』も へったくれも 無い のよね。 | |
『自分の欲求に 振り回されてるだけ』 って 言うのなら、 「一部の人間」だって… …と 言いかけた ふき でしたが、 ここは このまま、 ネック の 話に 耳を傾けることにしました。 | |
そこに「意味」を 生み出せる 可能性 を 持ってるのが、 あんたたち 『人間』なのよ。 | |
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人間は、 あたしらと違って、 『優秀な 脳』を 持ってるから、 「知識を 誰かと分け合ったり」 「知識を 誰かに伝えていく」 ことができる… | |
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1人の人生が、 「ただ生きて、ただ死ぬ」 だけじゃ 終わらないのよね。 ある人が残したものが、 『その人が死んだ後にも、 世の中を前進させる力』 になる場合がある… | |
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その人が 『生きていたことの 価値』… その人が 『生きていた意味』 ってやつに なる場合があるのよ。 | |
ふき は 心の中で、 静かに世の中を 見渡してみました。 そこに あふれている、 「世の中を支えつづける 技術たち」も、 「便利で有用な 道具たち」も、 元はといえば、 『おそらく 会ったこともない、 場合によっては 名も残っていない、 「どこかの誰か」が、 生み出してくれたもの』 です。 もし、その人たちが 存在しなければ、 今の世の中も、 今のような便利な姿には なっていなかったはず… 彼らの人生は、 「ただ生きて、ただ死んだ」 といったものでは、 決してない のです。 | |
「生きる意味」なんてものは 無いかもしれないけど… 『生きていた意味』を 自分たちで作ることは、 できる んだ。 | |
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その通りです。 唯一 … 『人間さんたち』だけ が。 | |
ミューラー は、 ふき の 至った結論に、 とても うれしそうに ほほえんだのでした。 | |
だけどね… | |
ここで ネック は、 ちょっと 寂しそうな 顔をしました。 |
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だけど いつか、 この宇宙が 停止する ときが来て、 あたしたちが 『滅亡』しちゃったら… | |
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そうやって 生み出してきた 「生きる意味」も、 結局 最後は 『無意味』で 終わっちゃう ことに なるんじゃないかな… | |
たしかに その通りです。 どんなに長いときをかけ、 どんなに高く積み上げた 「生きる意味」(知識)も、 地球上の知的生命体が 『絶滅』してしまえば、 いっしょに 消滅してしまう のです。 | |
でもね。 そんな 寂しい 「運命」ってやつが… | |
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もしかしたら、 ふきたち『人間』の力で 変えられるかもしれない… | |
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『この宇宙が終わる前に、 別の宇宙を見つけて、 そこに 旅立つ』 ことができたら、 『あたしたちのDNAを 受け継いだ子孫たちは、 もっともっと 遠い未来まで 生き続けられる』 かもしれない… | |
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これって、 生存本能に 振り回される 「自己満足な 生きる意味(?)」 とは ぜんぜん違う、 地球生物 みんなが 心から望んでいる、 共通の 『生きる意味(目標)』 って事に なるんじゃないかな。 | |
『全地球生物 共通の、 生きる意味(目標)』… 話が壮大すぎて、 すぐには 答えることもできず、 ただ ネック の 言葉に 耳を傾けつづける ふき でしたが… その体の中には、 今まで感じた事もなかった 「熱い気持ち」が、 フツフツと 燃えてくるのでした。 それは、 自分が今まで語ってきた 数々の「しあわせ」… それによって得られた 「幸福感」や「充実感」とは、 根本的にレベルが違う、 「衝撃的な感覚」でした。 それは いわば、 自分の中の、 深い 深い 深い所にある、 『自分の DNAを、 未来永劫 残したいという、 根源的で 利己的な 欲求』と、 『自分が生きている間に 世の中(宇宙)に対して やるべき行動目標 (生きる意味)』 とが、 最初から合わさることが 運命づけられていた 2つの歯車 のごとく、 寸分たがわず ガッチリと 噛み合わさるときが来た… そんな感覚だったのです。 ふき は かつて、 『岩の柱のクボミに 取り残された 小魚たち』 と 出会ったことで、 「この宇宙から 逃げ出すこともできずに ひからび 絶滅していくことを 運命づけられた、 自分たち生物の未来」 を 垣間見て、 その『事実』を 冷たく 悟りました… しかし 今、 ふき の 中に 燃えている のは、 『このまま 黙って 「絶滅」するのではなく、 この世界(宇宙)を、 命の続くかぎり 解き明かし、 万に1つの 「生存」の 可能性を 見つけ出したい!』 という、 「事実」を 受け入れた上での、 『目的意識への 悟り』です。 | |
「絶望」は… 『可能性』を 全部 試した後で すればいいんだ。 | |
その 強い思いを軸に、 ふき は 今まで自分が感じていた 「しあわせ」について、 再検討を 始める のでした。 |
『宇宙は、1つではない かもしれない』… この「可能性」を どのタイミングで ふきくんに伝えるかを、 私は常に悩んできました。 『宇宙は いつか終わる』 という事実だけでは 「絶望」しか生まれませんが、 単なる「可能性」を 『確実な希望』のように勘違い されてしまっては、 それもまた、「問題の先送り」 にしかなりません… 『宇宙の寿命には 限りがある』 という「事実」を、 つらくても 前提として 受け入れる『覚悟』… それを ふきくんが 持ったからこそ、 『この宇宙を理解し そこから旅立つ事の、 重要性・可能性』 へ 突き進む気概が、 彼の中に 生まれてくれたのです。 「自画自賛」と お笑いください。 私は今、 本当に うれしいのです。 ふきくんは、 『間に合って』くれました… |