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第11章『人間は、地球最後の「はかない希望」』→ 生物が生き残るためには、『詐欺師』の撲滅が不可欠 |
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さて… ここで 改めて、 『詐欺師』について 考えてみましょう。 | |
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世の中には ごく たまにですが、 「詐欺師は、 何もないところから 口先だけで利益を 出しているのだから、 ある意味 スゴイ人間だ」 などと 褒めている人が おりますよね? | |
その手の話は、 ふきも 何度か 聞いたことがあります。 心の底から そう 信じ込んで しまっている のか… それとも 自分自身が「嘘つき」や 「詐欺師」だから、 自己弁護をしている のか… 『詐欺は 犯罪どころか、 文明社会の 新たなビジネスモデルだ!』 『詐欺を批判する奴は、 自分が そのアイディアに 気づけなかったから、 ネタんでいるだけだ!』 みたいな事を、 真顔で主張してくる 彼ら・彼女らを見ていると… 「連中とは、決して 分かり合えることは 無いのだな…」 という うすら寒さを感じたり、 一方で、 「相手の言っていること のほうが おかしい」 ことは分かるのに、 そのオカシサに うまく反論できない 自分 に、 何とも言えない モヤモヤした悔しさを おぼえる… といった経験を、 ふき は 何度も してきたのでした。 | |
『詐欺師は、「無」から 利益を生み出す』… たしかに、 「物事の一面だけしか 見ていない人」は、 そんなふうに 錯覚 してしまいます。 | |
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でも それは、 とんでもない 『勘違い』です。 | |
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「錯覚」…? | |
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「勘違い」… ですか? | |
ミューラー が うなずきました。 | |
はい。 実は 詐欺師 たちは、 「何もないところ」から 利益を出している わけではない のです。 | |
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彼らは、 過去に 人々が 積み上げてきた、 『人間同士の 信用・信頼』 という「社会の財産」を、 「取り崩す」ことで… | |
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それを チャッカリ、 『自分の 利益』に 変換しているに すぎない のですから。 | |
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たしかに、 ミューラー の 言う通りです。 たとえば わが国で、 『健康詐欺』が 頻発するのは、 「この国の 医療技術」に、 それなりに高い 「信用」の 基盤が すでにある からです。 | |
考えても みて下さい。 もし、わが国の医療が メチャクチャ であったら… | |
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そんな 『信頼もヘッタクレもない 「医療界」出身 を 名乗る人間(詐欺師)』が 見つけた「療法」など、 どこの誰が 信用するでしょう?? | |
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この国の医療基準が 高いからこそ、 無名の医療関係者(詐欺師) が「独自に見つけた」と 自称する、 本来なら 怪しさに まみれている、 新興の「健康食品」や「療法」 にも… | |
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「それなりのレベルを 期待できる心理、 期待してしまう心理」が、 被害者側に はたらいてしまう のです。 | |
つまり 「健康詐欺」とは、 『この国の 医療関係者が 長年 築き上げてきた「信頼」』 に 乗っかって… 大した効果も無い、 したがって 原価も ほとんどかからない代物 を、 高値で売りつける ことで、 巨大な利幅(利益)を 出している行為に すぎなかった わけです。 | |
そして、 こうした 健康詐欺 が 起これば、 当然 人々の間に、 『医療関係者を名乗る者 への 不信感・疑念』 が 生まれます。 | |
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そうなれば 連鎖的に、 人々が 医療関係者を 「警戒」したり、 「非協力的」になって、 医療の発展が 「鈍化」してしまう… | |
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『詐欺師が、 自分だけの利益のために、 他人の積み上げた信用・信頼を 取り崩してしまう』とは、 つまり そういう事なのです。 | |
そう言いつつ ミューラー は、 寂しそうな目で 窓の外を見つめ、 しみじみと こう 続けました。 | |
「詐欺師は、 無から利益を出している 立派な人」 などという見方は、 あまりに悲しい 勘違い です。 | |
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詐欺師は 利益を得る過程で、 『人間同士の 信用・信頼』 という、 見えづらいですが とても重要な 世の中のパラメータ を 消費・破壊 してしまっている のですから。 | |
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言ってみれば 『詐欺』や『カルト』は、 文明社会にとって 病気の「ガン」 のようなものです。 | |
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社会が ある程度 「成長」してくると、 それは 大なり小なり 必ず発生してしまい… | |
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決して 他者と 相いれることはなく、 自分の利益のためだけに、 人々の間に はぐくまれた 『信頼』を 食い散らかして いく のです… | |
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ふきと かみねは、 ここまでの ミューラー の 話を しみじみと 思い返しました。 人間社会が 成熟 すれば、 そこには お互いの 信用・信頼による 『協力関係』が 生まれ、 文明は 前進 し、 より困難な問題にも 対処できる ようになります。 ところが、 社会の中に 信用・信頼 が 積み上がる ほど、 それを悪用した 『詐欺』や『カルト』も しやすくなり、 積み上げられた 『人間同士の 信頼』は、 彼らの 目先の 利益のために、 あっけなく破壊されて しまう のです。 | |
『信用・信頼』を 壊す のは、 とても「簡単」で、 「一瞬」です。 | |
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でも、 それを もう一度、 同じだけ 積み上げよう としたら… 人々の心に 『もう一度 他人を信じてみよう』 という気持ちを 育もう としたら… | |
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何10年? 何100年? 一体 どれだけの歳月が かかってしまう でしょう? | |
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その 重大な事実 に、 『多くの人間さんが 気づけていない』 ことが… 私は とても 恐ろしい のです… | |
そう言って、 さびしそうに うつむく ミューラー を 見つめながら、 ふき は しばらく考えて、 こう答えました。 | |
ということは、 僕ら「人間」は、 社会や文明を 成長 させつつも… | |
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そこから 必ず発生してくる 「詐欺」を、 的確に『駆逐・排除』 できる方法 を、 なんとかして 見つけるしかない… という事ですね? | |
ミューラー が、 再び 深く うなずきました。 | |
それが 成功しないかぎり、 人間さんたちの 文明レベル は、 今後も いつまで経っても 「上下を繰り返す」ばかりで、 『飛躍的な 向上』には 結びつかず… | |
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『地球から 旅立てる』だけの 高度な文明 に 到達する前に、 地球が その寿命を 迎えてしまい… | |
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その上で暮らす 私たち生物たち ともども、 人間さんたちも 『絶滅』の 結末を 迎えてしまう事でしょう… | |
今のままでは 人類は、 地球上の全生命は、 詐欺師・嘘つき たちの 身勝手のせいで、 『地球生物すべてを巻き込む、 ゆるやかな集団自殺』に 付き合わされてしまう事は 間違いありません… ふきたちが 今まで 詐欺師 や 嘘つき から 感じていた 不快感・敵意 は、 いつか「自分たちの DNA」が、 この「一部の異常者たち」の 身勝手な行動によって 絶たれてしまうかもしれない… といった、 直感的で正確な 予感 によるもの だったのかもしれません。 ふき の 中に、 今までとは比べ物に ならないほどの 「嘘つき」「詐欺師」 「カルト」という 存在に対する 『嫌悪 と 危機感』が、 フツフツと 実感されて くるのでした。 |