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第11章『人間は、地球最後の「はかない希望」』→ 生物が生き残るためには、『詐欺師』の撲滅が不可欠 |
詐欺師は、 絶対に 許されるべきではない 『社会のガン』。 それは もちろん、 そうなのですが… | |
詐欺師を ただ 「憎む」だけじゃなくて、 僕ら自身も、 それに 引っかかって しまわないよう、 『対抗手段』を 考えてなきゃ いけない よね? | |
そんな ふきの 言葉に、 ミューラー は うれしそうに うなずきました。 | |
その通りです、 ふきくん。 詐欺を 完全に無くすこと は、難しい… というより、 現実問題として、 まず「不可能」でしょう。 | |
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でも、 世界中の 人間さんたちが 詐欺師の嘘を見抜く 「冷静な目」を 持ったり、 『詐欺師に対抗する知識』を そなえる ようになれば… | |
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結果的に 『詐欺師の 嘘が、 ほとんど社会に影響を 与えられない 世の中』 を 作ることも、 可能なのです。 | |
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そのためには… たとえば、 「どんな方法」が あるのでしょうか? | |
かみねの 疑問への ミューラーの 回答は、 こうでした。 | |
たとえば、 これは現在でも 人間さんたちの社会で 実行されている方法ですが… | |
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『詐欺師・カルトの 手口』 についての情報を、 みんなで共有する というものが あります。 | |
これは、ふきにも なじみのある 防御方法です。 「新手の 詐欺事件」が 広がりを見せてくると、 必ず 警察やマスコミから、 『こんな感じの詐欺手口が 広まっているので、 このように対処しましょう』 といった 注意喚起の情報 が 提供されるようになります。 ただし これは、 「ある程度 世の中に 被害が出て、 問題視されてから」 でないと 告知されないので、 やや タイミングが遅い という難点はありますが… 1つの 対処法 であることは確かです。 | |
「最新の詐欺」は もちろん、 「過去の詐欺」に 関する 情報と対処法 などが、 誰でも 手軽に、 分かりやすく閲覧できる、 『データベース』 のようなサイト … | |
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そうしたものがあれば、 きっと 詐欺師・カルトは 動きづらくなる ことでしょうね。 | |
これが、 ミューラー の 1つ目の提案でした。 |
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次に、 これは 私自身が 人間さんの法律に ウトい ので、 断言は できない のですが… | |
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『詐欺事件の 犯人たちの罰則が、 被害の割に ゆるい』 ことが、 詐欺事件が 後を絶たない 一因 のように 思えるのです。 | |
これも ふき は、 以前から 不思議 に 思っていました。 社会に与える 影響の大きさ の割には、 ニュースなどで目にする 詐欺の犯人の刑 が、 どうも「軽い」ような 気がする のです… ただ、多分ですが これは、 『嘘』を 罰することの 難しさ にもよる のではないでしょうか? ミューラー も 言っていた通り、 『嘘』というものは 「人間 誰もが つくもの」 であり、 中には 「本人も自覚して いないような嘘」 「別の人から伝えられた 誤情報(嘘)を信じ込んで、 さらに別の人に 伝えてしまうケース」 なども 存在するのです。 それを1つ1つ 罰していたら キリがありませんし、 それこそ 『全人類が 犯罪者あつかい』 に なりかねません。 「悪意や故意があっての 嘘かどうか」の、 線引きの難しさ… それが、 「詐欺事件の罰則」を 重くすることへの ブレーキ として、 結果的に はたらいてしまっている のではないでしょうか? | |
とはいえ、 詐欺によって発生する 「社会への被害」は 甚大 です。 何しろ、 『人々の信頼関係を 破壊』 してしまうのですから… | |
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正直なところ私は、 「ある程度の規模以上の 詐欺」 を 起こした犯人 は、 『死刑』でも まったく問題ない … ぐらいに 考えているところが あります。 | |
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これは 決して、 「詐欺師のような卑怯者は 死んだほうがいい」 といった 短絡的な意味ではなく … | |
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「詐欺」が 後々まで 社会に与える影響が あまりに甚大 で、 「個人レベルで償う」ことは まず不可能 なので、 | |
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犯人自らが 命を絶つこと ぐらいでしか、 『詫びようが無い』 『収まりようが無い』 …と 考えるためです。 | |
温厚な ミューラー から 『死刑』という 過激な言葉が出たので、 ふきと かみねは ギョッとして しまいました。 でも それは、 「今」の 常識で考えるから、 「過激に見える」だけ かもしれません。 遠い未来に、 逼迫(ひっぱく)した危機が 地球にせまり、 『地球上での 永久的な生存が不可能』 であることを、 多くの人々が 「自覚」せざるをえなく なったとき … 地球から「脱出」するだけの 文明・科学力を得る ため、 『地球規模の 人類の協力関係』が、 切実で必要不可欠な 現実として、 人々に「認識」されたとき … そんな時代に 生きている人々… つまり、私たちの 遠い遠い子孫たち が、 「今の私たちの世の中」 を見たとしたら、 どう 感じるでしょう? 「詐欺師やカルト」が 普通に存在し、 大した罰則も受けずに ノウノウと生き延びて、 人々の『信頼』を 気ままに破壊している、 この現代 を 見たとしたら… 『もし ご先祖さまたちが、 もっと早く手を 打ってくれていたら、 僕らも「絶滅」せずに済んだ かもしれないのに…』 そんな 悲しい言葉 を はかれても、 仕方ないのでは ないでしょうか? | |
『死刑』とまでは 行かなくても、 「詐欺を行うことは、 大変に大きなリスクである」 ということを、 犯罪者予備軍に 思い知らせるための 「重罰」を示しておく ことは… | |
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「詐欺の発生を抑止」し、 未来に 『人間同士の信頼』を 残すため の、 1つの策には なると思うのです。 | |
それが、 ミューラー の 意見でした。 |
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次に 私が オススメしたいのは… 『心理学 の 勉強』です。 | |
ミューラー の 3つ目の提案は、 以前も 話し合った 『心理学』 についてでした。 | |
『心理学』は、 「他人」は もちろん、 「自分自身」をも 客観視できるようになる、 すばらしい知識です。 | |
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「詐欺師」は、 ダマそうとしている相手の、 『心の隙』を 突いてくるもの ですが… | |
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もし 相手が 「常に自分を客観視するよう、 努力している人」だと、 『心の隙』も なかなか生まれず、 詐欺師は かなり 苦戦することになる でしょうね。 | |
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心理学には、 『ダマシに対する 防御』 の 効果もある… という事ですね? | |
ミューラー が ニッコリと うなずきました。 | |
もちろん、 『他人をダマす』ことだけを 日夜 勉強・工夫し、 組織内で情報共有 しているような 詐欺師団体 相手では、 「個人」が ちょっと 勉強したぐらいの知識では、 まず 太刀打ちは できない でしょう。 | |
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でも、 心理操作について 「まったく知らない」のと、 『少しだけど 知識がある』 のとでは、 雲泥の差 が あります。 | |
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相手の 心理操作 を 完全には把握できなくても、 「何か おかしいぞ?」 と 違和感 に 気づき… | |
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とりあえず 「その場で安易に 決定してしまわないよう、 適当な理由で 結論を先延ばしさせ、 自分が冷静に考えられる ようになるための 時間を作る」… ぐらいの 対処 は できるようになります。 | |
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相手の「心の隙」を つけ狙う 詐欺師 は、 何より、 『相手が うろたえてくれず、 冷静に考えようとする』 ことを 嫌い、 恐れるもの なのです。 | |
『心理学』によって 相手の「工作」を 見やぶり、 見やぶれないまでも、 「うろたえそうに なっている自分」に 気づくこともできる。 たしかに『心理学』は、 「詐欺師」と 戦う上での、 不可欠で 強力な 『助け』に なってくれそう ですね。 |