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第11章『人間は、地球最後の「はかない希望」』→ 生物が生き残るためには、『詐欺師』の撲滅が不可欠 |
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さて、 いよいよ 「詐欺師への 対策」の 最後の1つ… |
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『他人との信頼』 『他人を信じる心』を 失ってしまわないため の 対処方法 の、 最後の1つを ご紹介します。 |
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な、何なんでしょう、 それは? |
ふきは ドキドキで、 かみねは 興味しんしん、 おヒゲぴんぴん で、 ミューラー の 顔を 見つめました。 ![]() | |
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それは… |
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『人間を、 信用しない事』 です。 |
「なるほ… ど」と言いかけて、 ふきと かみねは、 目をパチクリしながら 首をひねりました。 ![]() ![]() 『「詐欺師」を 信用しない事』 なら、話は分かるのですが、 『「人間」を 信用しない事』 とは 一体 …?? 現在、詐欺師が 「人間同士の信用・信頼」を 壊している わけですから、 むしろ ここは、 『どんなに つらくても、 他人を信じる心を 忘れないで!』 ぐらいの言葉が 適切のように 思えるのですが…?? ![]() すると ミューラー は、 ふきたちの心を 見透かすように首をふり、 こう 続けました。 | |
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たしかに、 「他人を信じる心」が 失われつつある わけですから、 その反対の、 『最初から相手を 信頼するよう 心がける』 ことこそが、 「正解」のように 思えてしまう ことでしょう… |
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でも、 それは 違うのです。 なぜなら 「人間さん」の… 「動物」というものの コミュニケーション は 本来… |
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『疑念』(疑い)から スタートする からです。 |
ええっ!!!! ![]() ![]() 子供の頃から、 『まず、他人を信じること』 『他人を疑うのは、悪いこと』 という 教育を 受けてきた ふき にとっては、 落雷を食らったような ショッキングな話 でした。 もちろん、 そうした「教え」が 実は 必ずしも 正しいわけではなく、 キレイ事に すぎない事 は、 大人になるにしたがって 理解してきたつもり ではありますが… それにしたって、 「スタート地点」は 『信じること』 であるべき では ないでしょうか? ![]() すると ミューラー は、 再び 首をふりました。 | |
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いえいえ、 スタート地点は 『疑念』です。 それで良いのです。 |
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なぜなら、 「相手に興味がある」から 『疑念』が 生まれ… 「疑念」があるから 『事実を 確認したい』 という欲求が生まれ… |
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相手(事実)を知るための やり取り… 「コミュニケーション」 を 通じて、 初めて『信頼』が 生まれてくる からです。 |
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「相手に興味がある」から 『疑念』が 生まれ、 「コミュニケーション」 を 通じて、 『信頼』が 生まれる… ![]() ふき は あらためて、 過去に知り合った 「信頼できる相手」 のことを 振り返ってみました。 言われてみれば 確かに、 長い付き合いの相手 であっても、 最初の頃は オッカナ ビックリ、 「色々なことを試しながら」 親交を深めていった 憶えがあります。 逆に、 大して 付き合いが 深くならなかった相手 は、 そうした「思い出」が ほとんど無い… 自分の中の 「相手への興味」が、 少なかった からでしょう。 ![]() また、 ふき は たまに 野良猫 に 出会ったとき、 小さな 猫オヤツ を あげることが あるのですが… そんな時の「猫の反応」は、 だいたい 以下の2種類。 「最初から 近づいてこない」か、 「こちらの挙動を ジー…ッ と 観察・警戒しつつも、 ソロリソロリと 距離をつめてくる」か、 です。 理由は 色々あるでしょうが、 「距離をつめてくる」 タイプの猫 は、 「もしや この人間は、 自分に危害を加える 危ないヤツなのでは?」と、 ふき のことを 警戒・疑い つつも… あえて ふき に 近づくことで、 『その真意』を 計ろうとしてきます。 ふき と 猫の間には、当然 「言葉による 意思の疎通」は ありませんが、 「相手の実態を知ろう」 としてくる、 猫の真剣な態度 の 中に、 ふき は、 『本物の コミュニケーション』 を 見ていたのかも しれません。 ![]() | |
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『本当の コミュニケーション』は、 「疑い」を スタート地点とする… 「最初から 無条件で、 相手を信じろ!愛しろ!」 というのは、 『自分の頭では 考えるな!』 と 言われているのも 同然です。 |
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そのような 無思考な状態での 人付き合い を 「当たり前」だと 勘違い したまま 育ってしまった人は… |
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詐欺師のような ズル賢い人間 の、 「かっこうのエサ」に されてしまう危険が 高いです。 |
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最初は、疑って良い… むしろ、 『疑うべき』 なのです。 |
子供の頃に 『他人を疑うことは 悪いことだ』と 教えられてきた ふき にとっては、 かなり 抵抗のある 考え方 ですが… 一方で、 昨今の 人々から 「本物の コミュニケーション」 が 消えてきている原因 が、 見えた気がしました。 ![]() 『最初から 相手を信じるよう 教育されている』せいで、 コミュニケーションの スタート地点である 「相手への疑い」を おろそかにしてしまい、 その結果、 『本物の 深い人間づきあい』や 『相手の正体を見抜く目』も、 なかなか 養われない のではないでしょうか? 「本当の 疑い」を 経なければ、 『本当の 信頼』へも 辿り着けないのです。 | |
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『安易に「他人」を 信じちゃいけないよ』 って わけか… |
ところが、 そう つぶやいた ふき に、 ミューラー が ほほえみつつも、 こんな事を 言い出したのです。 ![]() |
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いえ、ふきくん、 ちょっと 違います。 私は、 『人間を 信用しない事』 と 言いましたよね? |
ふき は 意味が分からず キョトンとしましたが… ![]() かみね が 「あっ」と 気づいて 目を見はりました。 | |
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「人間を 信用しない」… つまり、 『自分自身も 疑う』 ということですね!? |
愕然とする ふき の 横で、 ミューラー は とても うれしそうに、 深く うなずきました。 ![]() ![]() | |
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ご名答です、 かみねさん。 「嘘」に 対抗する 最高の手段 … それは、 『今 この瞬間の現実』を 直視すること です。 |
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だとすれば、 「自分自身の持っている 過去の知識」を 過信してしまう事 も また、 詐欺師の大好物である 『心の隙』になる 場合があるのです。 |
ミューラーは そう言いつつ、 壁の近くに置いてある テレビを振り返りました。 | |
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以前にテレビを 拝見していたとき、 「過去に 詐欺事件を 起こした人」が、 インタビューで こんな話をしていました。 |
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『自分は大丈夫、 自分はダマされないと 思い込んでいるヤツほど、 俺らにとっちゃ 「最高のカモ」 なんすよ(笑)』 と… |
心理学を トコトン研究 している 詐欺師 にとっては、 「自分は 無知だから…」と、 自信の無さゆえに 常に警戒している人 よりも、 『自分は頭が良いから、 他人にダマされたり なんかしない!』と 安心しきっている人間 のほうが、 はるかに 「心の隙」へと 誘導しやすい というわけです。 ![]() 常に 他人を疑い、 (事実を確認し) 一方で、 常に 自分自身も疑える… (慢心しない) そうした 『良い意味で 臆病で、 謙虚な人』こそが、 詐欺師が 最もイヤがる、 「エサに しづらい人間」 なのです。 ![]() | |
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もちろん それは、 「疑心暗鬼になれ」 という意味では ありません。 |
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『客観的な 事実・現実を、 常に「注意・確認」するよう 心がけること』こそが、 最終的に 自分自身の人生を 守る … という事なのです。 |
「人間同士が 信じあえる世界」 を 作るために、 『常に 人間(他人と自分)を 疑うよう、心がける』… とても不思議な、 矛盾しているような、 この言葉… でも、 何か 心の中で 「今まで どうしても 噛み合わなかった歯車」が カッチリと 音を立てて かみ合ったような感覚 を、 ふき は 実感するのでした。 ![]() ![]() ![]() |
そして ふきは、 『客観的な現実を、 常に確認するよう 心がける』 ことの 大切さ を、 今回の件で、 あらためて 身にしみて 再認識 したのでした。 ![]() たとえば、 今回 ネック が ダマされそう に なったのも、 『ガンが治るという 他人の話を「信じた」から… 「信じたかった」から』 です。 でも、 それは ネック が、 「客観的な真実」よりも 「自分の信じたいもの」を 優先してしまった 結果… いわば、 自分の中の 『確証バイアス』に 惑わされてしまった 結果です。 ![]() ![]() もっとも、 ネック が 置かれた状況 を 考えれば、 とても 責めれたものでは ありません が… ふき だって、 『自分の 残りの命が 1ヶ月も無い』 としたら、 とても、冷静では いられない でしょう。 ![]() 『健康詐欺』だと 分かっていても、 ワラにも すがる思いで、 お金を注いでしまう ことだって、 無いとは言い切れない のです。 | |
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それに… ネックさんが、 あんなことを 言い出したのも、 きっと 不安 なんだから だと思うよ。 |
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僕が もっと… ネックさんが 安心 できるぐらい、 シッカリ 『生きる意味』を 学ばなきゃね。 |
ふき の 言葉に、 ミューラー と かみね が、 何とも言えない、 深い ほほえみ を 見せました ![]() ![]() 全ての人が、 常に「冷静で 客観的」で いられるわけではない… だからこそ、 人間同士が 協力し合って、 ときには、 「冷静さを失ってしまった人」 の 代わりに、 「冷静さの残っている人」が 『物事を判断する 手助け』 を してあげるようにする… ![]() | |
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そうした 「助け合い」の 果てに、 いつか 人間さんたちは、 『詐欺師たちを 根絶した世界』をも、 作り出せるかも しれませんね。 |
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『キレイ事ではない信頼に 満ちた世界』… 『地球生物を、 宇宙に脱出させられるだけの 文明に到達できる、 そんな可能性を 持った世界』を、 人間さんたちの 「英知」によって… |
ミューラー が しみじみと つぶやきながら、 その 大きな羽根で、 ふき の 手のひらを 握手するように クッと 包み込んで、 ほほえみました。 かみね も うれしそうに、 細い 両方の前足で、 ふき の 手を握ります。 ![]() ![]() ![]() そのとき、 部屋の入口のほうで 小さな音がしました。 ふきたちが 振り返ると、 小さな白猫 ネックが、 苦笑しながら こちらを見つめています。 | |
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なーんか、 お腹すいて、 目が さめちゃったよ。 |
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なによ あんたら。 「青春ドラマ」みたくて 恥ずい んですけど。 |
そんなことを 言いつつも、 トットットと 歩いてきた ネック は、 背伸びをして ふき の 手に 両前足をのせ、 ふき を 見上げて ニーッと ほほえんだのでした。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
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『詐欺師』『カルト』は、 この社会にとって 「ガン」であり「寄生虫」です。 「自分の欲望」を最優先した結果、 宿主である「社会そのもの」に 甚大な被害を与え、 それが結果的に 「自分自身の生存」をも 終わらせてしまうことに、 気付けすらしない… こんな 愚か者たちの 「集団自殺」に 我々までが付き合わされて しまわないよう、 どうか 1日も早い 『有効的な 対処法』を、 人間の皆さんの「英知」で、 生み出してくださいね。 |