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第11章『人間は、地球最後の「はかない希望」』→ あたしの『お父さん』 |
ちなみに、 この神通力… 『千里眼』は、 『それに関係のある生物』を 媒介(ばいかい)にすれば、 とても 成功率が 高くなります。 かみね が 簡単に 「ふき の デート現場」を 見ることができたのは、 ふき の 知り合い である ネック や ミューラー が、 そばに 一緒にいたため ですし… ふき が 公園に 自殺しに来た あの日、 キツネの神さま が、 「ミューラー」の存在 を 知ることができたのも、 ふき本人 が いたからこそ です。 とはいえ、 今日の かみね は、 ちょっと時間が かかっている 様子… ネック の 元の飼い主 である 「人間の おじいさん」… その おじいさんの 今後を心配して、 引き取ったという、 息子さん ご夫婦 の 住まいは、 どうも、この街から かなり 離れた場所 のようです。 | |
それで、 引っ越しした後も、 あの公園に 様子を見に 来れなかった… という事なのかな? | |
そんな事を つぶやきつつ、 さらに じっと 待ち続けたところ… それまで 目をつぶって 小さく うなっていた かみね が、 目をつぶったまま、 「あっ」と 安堵の笑みを もらしました。 息子さん夫婦の お家を 見つけたのです。 | |
い、いた? お父さん。 | |
ネック が さらに グイッと かみねに 近づきました。 | |
…「お父さん」? | |
どうも ネック は、 以前の 自分の飼い主を、 心の中で そんなふうに 呼んでいたようです。 かみね は、 ちょっと おだやかな顔に なったものの、 まだ 目をつぶったまま、 「千里眼」を駆使して 色々なことを調べます。 それほど 裕福という わけではないけれど、 人並みな生活水準と、 清潔さを感じさせる 家の中… そこに住む人々の、 性格や、思い出… そして何より、 「人間の おじいさん」… 『ネックの お父さん』 の 姿を求めて、 かみね は 家の中を 駆けまわるのでした。 |