■ あたしの『お父さん』(4/7)
『ネックの 以前の飼い主の、その後』





ところが、

そんな かみね が、

急に ピクッと
背筋をのばして、

動きを止めて
しまいました。





ふきミューラー
顔を見合わせて
首をかしげましたが、

  



ネック の 顔からは、

それまでの
ドキドキしたもの が、

スーッと
抜け落ちていきました…









目を開いた かみね は、

すぐそばで
自分を見上げている
ネック のほうに、

おずおずと
向きなおります…



そして、

ちょっと 目を
そらすような感じで、

こう言いました。





ネックさんの、
お父さま


とても しあわせそうに
暮らして
いらっしゃいますよ?



息子さん ご夫婦にも、
良くしていただいて
いるようで…






かみね の 顔を
じっと見つめていた
ネックが、


ちょっと 寂しそうに
ほほえみました。





かみね

あんたって
本っ当に

ウソが下手 だよねぇ。









ショックを受けて、

みるみる
目に涙がたまっていく
かみね を見て、


ふきミューラー
再び 首をかしげて

お互いの顔を
見合わせました。

  





かみね は 千里眼で、

家の中の 一室にあった、
まだ 新しさの残る仏壇
を 見たのでした。



そして、
そこに飾られた、

しあわせそうな、

でも どこか
ほんの少し 寂しそうな
笑顔を浮かべた、



おじいさんの「遺影」を…


  

  






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