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第3章『しあわせ の「正体」』→ もし『友達』が 無限に手に入ったら? |
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それにねぇ… | |
ネック が、補足するように 語りだしました。 | |
「好き嫌い」ってものは、 誰にでも あって当然 なのよね。 それが ある意味、 『個性』ってやつ なんじゃないの? | |
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なのに、 「皆が皆 あたしのことを 好きになる」なんて、 うれしいって言うよか、 むしろ、 疲れるし、気持ち悪い と 思うけどなぁ。 | |
この意見は、 例の 公園 で、 近所の人たちの間で 人気者 だったという ネックさん ならではのもの だなぁ… と、 ふき は、ちょっと 驚き、 ちょっと 感心しました。 | |
おっしゃられる通り ですね。 この世の全ての人々が、 「ある1人の人物に 好印象しか抱かない」 なんて、 『洗脳』か『情報操作』 でも しないかぎり 実現しない、 異常事態 だと思います。 | |
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もちろん、 だからこそ 『無限化』のような 「思考実験」の 題材に 適している… とも言えるのですが。 | |
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『味方』もいれば、 『敵』もいる… それが 普通の世の中よね? | |
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でも、 たとえ 数は少なくても、 その「味方」が、 自分のことを ホントの意味で『理解』 してくれていて… | |
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自分も その「味方」のことを、 ホントの意味で『理解』 している人は、 きっと、 本当に『しあわせ』 なんだろうね… | |
ネック の この言葉に ふき は、 先日 ネックたちが 「ふきの、たった5人しか いなかった 数少ない親友」を、 『本当の親友だ』といって 褒めてくれたこと を 思い出していました。 そして、 その 理由 が、 今こそ 本当の意味で 分かった気がする のです。 | |
「量」じゃなくて… 『質』ってことか… | |
ミューラー が、 深く うなずきました。 | |
もちろん、 「量」と「質」が ともなえば、 それに越したことは ないのですが… | |
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お友達が増えれば、 どうしても 1人1人に かけられる、 「お相手をする時間」は 薄まってしまいます から、 物理的にも、 『両立は 困難』 ですよね… | |
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…ただ、 方法が無いわけでは ありません。 | |
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『方法』というのは 何でしょうか? ミューラーさん。 | |
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『作品』です。 本 や 音楽、 ゲーム や 映像作品 などを通して、 「自分の能力」や 「思うところ」を示し、 それに 賛同してくれる人… つまり『ファン』が 生まれてくれたとしたら… | |
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その人は、 「作品」を通して 『親友と同じようなもの』 を 得たことになる のではないでしょうか? | |
そんな考え方も あるのか… ふき には、この見方が、 驚くほど新鮮で、 衝撃的 でした。 でも、たしかに そう考えると、 どうして クリエイター の 中に、 あそこまで 必死に… 時に 自分の人生を 棒に振ってまで、 『良質の作品』を 残そうと 挑み続ける人がいる のか? その理由 が、 見えてくるような 気がするのです。 彼らは、 「自分の全力をそそいだ 制作物」を 通して、 『距離や 時代をも超えた、 賛同者・親友』を 得ようとしている のかもしれません… 今まで ふき は、 作品・商品制作というものは 単純に、 「自分のすばらしさを 他人にアピール」 したり、 「生活費を稼ぐための 手段の1つ」 ぐらいの認識しか なかったのですが… 『真の意味で、 分かり合える友だち』 を 強く求める心 が、 「名作」を生む 原動力 に なっているのでは…? と 考えたとき… 今後の自分の、 「作品・商品を見る目」や、 「それを作る 心構え」が、 変わってきそうな気が するのでした。 |
100人の友達ができれば、 それ自体は たしかに 素晴らしい事ですが、 単純計算で 1人1人に かけられる時間は 100分の1に減って しまいます。 すると当然、 「お付き合いの濃さ」も 薄まってしまう… この悲しいジレンマが、 「友達の多さ=幸せ」 では決して無いことの、 1つの証拠でもあるのです。 |