サイト『生きる意味の「正体」教えてやるにゃー』
第3章『しあわせ の「正体」』
マズローの 欲求5段階説


■マズローの 欲求5段階説
(8/10)


『欲求の段階を
飛び越えるケースがある』





私が説明を後回しにした、
『マズローの 自己実現理論』の
2つの追加説明。


その まず 1つ目 は…





まさに ネックさんが
おっしゃられた

『途中の段階を飛び越して、
上の段に進むケースがある』

点についてです。



  





ふきくんが
以前に語ってくださった
「幸せ」の 中では、

『将来 の 夢』が、
まさに これにあたりますね。





「現在より 大きく高い
能力を持った自分」

夢見るという事は、

逆に言えば
『今の自分には それが無い』
わけで…





「資金力」も「人脈」も、
おそらく「社会的地位」も、

まだまだ
「欲求を満たす」レベルでは
無いはず
です。





…にもかかわらず、

「ピラミッドの最上段」の
『自己実現』
一気に目指そうとする



考えてみれば これは、
大きな矛盾 です。





そ、それって やっぱり…

僕の生き方が 不自然
って 事ですか?





ふき
半泣きになりましたが、

ミューラーは しずかに
首を横に振りました。





いいえ。
私は むしろ、

『とても人間さんらしい』
欲求のジャンプ

だと 思っています。





唐突に「人間らしい」
言われて、

ふきたちは
キョトン顔になりました。

  





もし「人間さん」が、
私たち 一般的な動物と
同じ程度
であれば、

こうした「欲求のジャンプ」は
起こらない
でしょうし、

そもそも
『自己実現』の ランクまで
欲求が登ることも無い

でしょう。





しかし、

人間さんには
『知性』『理性』
があります。





『知性』が あれば、

欲求の階段を
1つずつ登らなくても、

他者から「情報」として知り得た
さまざまな『自己実現』の手段

へと、

直接、意識(欲求)を
向ける
こともできる…





つまり
「目先の欲求」
だけではなく、

『ずっと彼方の欲求』を
見据えることもできる

わけです。





普通なら「実体験」からしか
導けない道を、

知性 によって
知ったり 逆算できる
唯一の生物が『人間』


といった所でしょうか?

 



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『自己実現へのジャンプは、
諸刃の剣』





さらに言えば
人間さんの脳
(大脳新皮質)
には、

「本能的な欲求」
振り回されすぎないよう、

ある程度 それを
コントロールできる能力





すなわち、

『理性』
備わっています。





それによって 人間さんは、

「出世や、結婚や、貯金も
もちろん大事だけど、
今の自分の最優先は
『自己実現』だ」

と 深く自覚することで、

「途中の段階の欲求」を
抑え込み





いきなり『自己実現』に
向かう
ことも、

場合によっては
可能なのです。





生物さんの中でも
「飛びぬけて高性能な頭脳」
を 持っている
人間さんだからこそ、

できる事なのですね?





ミューラーは うれしそうに、
深く 何度もうなずきつつも…


少し顔を引きしめて、
このようにも説明しました。





もちろん…

それは「諸刃の剣」
でもあります。





ただ単に 『知性』で
「遠く(未来)を 見つめる」
だけ
では、

「足元(現在)」が
おろそかになる危険

ともないますし…





『理性』で「欲求」を
抑えこんで
も、

社会的地位 や 安全 が
安定していなければ、

現実問題として
不安も多く





『自己実現』を
目標としつつも、

なかなか それに
集中できず、


結果的に
人生を遠回りしてしまう危険
間違いなく存在している
のですから…





ミューラーの 話を聞いている
ふきの 脳裏に、

先日のテレビで見た、
『デビューを目指して がんばり続ける
音楽バンド・お笑い芸人・
漫画家などを紹介する特番』

思い出されました。





生活時間の大半を
バイトなどに費やしつつ

「作品づくり」を 並行させているためか、

彼らが作ったものには
アセリというか 余裕の無さが見られ、
どうしても「底の浅さ」が
目立っていました。




また、
『とにかく ツメあとを残したい』
(人々の記憶に残って、成功につなげたい)
という欲求が
前面に出すぎてしまっている

「インパクト重視」の 作りには、

見ていて
ちょっと応援する気になれない
不快感
すら 湧いてくるのでした。

 




しかし、

これは ふき にとって
他人事ではありません。


かくいう ふき自身も、
ゲームプランナーという「夢」
目指しているはずなのに

日々の会社の仕事に忙殺 され、

何年も「ゲームアイディアの
走り書きメモ」を ためる程度の
ことしか出来ていなかった

のですから。

(しかも、そんな自分の「停滞」に
疑問すら抱かないまま…)








『自己実現』は
素晴らしい欲求
ですが…





それに向って 盲目的に
邁進してしまう
のは、

「肩書」や「恋愛」や
「称賛」欲しさに
自分が見えなくなって
しまっている人々
と、

結局「何も変わらない」のでは
ないでしょうか?





そんな ミューラーの 言葉に、

ふき は、
ゲームアイディアのメモ
まとめた袋の入っている
机のほうをチラリと見て、

自戒するように、
しみじみと 何度も
うなずいた
のでした。

  



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