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第4章『「DNAの生存本能」で「しあわせ」を考える』→ DNA の 生存本能で、『仕事』を考える |
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ご存知の通り 私たち「神さま」は、 この世の中に 直接は かかわれません し、 その存在に気づかれることも ありません。 | |
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ですから、 ふきさん が日々 感じているような 「仕事をやり続ける つらさ」 とも 無縁 なのですが… | |
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ときどき それを、 寂しく思う ことも あります。 | |
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『寂しい』… というと? | |
首をかしげる ふき に、 顔を上げた かみね は こう答えました。 | |
「周りから 影響を受けなくて」 気軽 な 代わりに… 『周りに 影響も 与えられない』のが、 私たちなんだなぁ って… | |
われわれ「生物」は、 『それが どんなに 小さな行動でも、 「自分の望む 世の中」に 近づけるために、 自発的に 世界に かかわることができる』… でも、かみねたち 「神さま」には、 どんなに望んでも、 それができない のです。 彼らは ただ、 自分たちの住む場所を訪れた 生き物の一部に、 「世の中に ほとんど 影響を与えないレベルの の 願い事」を かなえてあげる ことしかできない存在… そして その願いも、 あくまで 「相手の願い」であって、 『自分の願い』ではない のですから… いや、それを言えば、 今でこそ ふき と 対等に 『生きる意味』を 論じ合っている ミューラー や ネック だって、 神さまから 「人間並の 知能」を 与えられていなければ、 単なる1動物として、 『世の中に 関わる』 どころか、 ただただ 目先の1日1日を 生きのびるためだけに 「死にもの狂いで奔走するだけの日々」 を送るに すぎなかったはずです。 この中で、 ふき だけが … 『人間たち』だけが、 「仕事」などの形で 社会にかかわり、 自発的に 世の中を動かし、 物や道具などをとおして、 次の時代に『何か』を 残せている… ふき は、 自分たち『人間』が 「他の動物と違って 高度」 とまでは言わないまでも、 (さっき ネック にも笑われましたし) 『何かが 根本的に、 他の動物と違う』 ことに 気が付きつつ ありました。 |
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先ほど ふきくんは、 『 物 や 道具 』の 素晴らしさ に 感嘆しておいででしたよね。 | |
ミューラーに 問われて、 ふきは うなずきました。 | |
あれらの品物も、 元はといえば 「どこかの誰か」が… あるいは、 「過去の誰か」が、 必要に応じて アイディアを出し、 形にした… | |
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つまり、 『仕事』によって 生まれた 成果物 といえます。 | |
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「仕事」とは そんなふうに、 『 この世の中に対して、 たとえ どんなに小さくても、 かかわり、役立ち、 影響を与え、 それを残していける、 すばらしい行為 』 です。 | |
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さらには、 自分の工夫と 努力次第で、 「日々の仕事を 通して」 『自分自身は もちろん、 自分を含む 世の中全体の 生存確率を上げること』すら、 できるかもしれない 行為なのです。 | |
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これは、 すごい事 だと 思いませんか? | |
与えられた「仕事」を、 ただ無思考に こなすのではなく、 それをこなしていく中で、 『少しでも世の中を、 「自分の 本当に望むかたち」 に 変えていく』… その上で、 生活の糧である「お金」などを 手に入れられたら、 (自分の生存確率を上げられたら) これほどの『幸せ』は ちょっと他には 存在しません し… こうした 「幸せ」の 実現方法 は、 『人間ならでは のもの』 とも 言えるのでは ないでしょうか? 「今日まで」の 自分の やり方 を ただ 後悔するのではなく、 「明日から」… いや、 『今 この瞬間から』 そんなふうに 変えていきたい… ふき の 心の奥底で、 小さいけれど、 何かのエンジンが かかった ような、 そんな感覚が ありました。 そして、 そんな ふき を、 ネック は なにか、 とても懐かしそうな まなざし で 見つめているのでした。 |