■ 「夢」 を、生存本能で考える






今回は、『夢』 に ついてですね


夢というものは、

それが 「単なるアヤフヤな希望」 ではなく、
「人生の目標」 としてのものであるなら、

間違いなく、『自分の人生の向上』
目指したものであるはずです。





ふき は、作業机のほうに
目をやりました。


その引き出しの中に入っている、
ゲームアイディアの
ノートやメモのこと…

「自分の夢」 のことを思って…




夢は、人それぞれに異なりますが、

その主旨は、

「お金」 であったり、「品物」 であったり、
「希望する学校への入学や、会社への就職」
そして 「自分の望む将来のこと」
であったりします。


それらは、これまで話してきた通り、

『その人の DNAの、生存確率の向上』
に つながっています。





ふき は、腕組みをしながら、
静かにうなずきました。







今の ふき が、
ゲームアイディアを
ためているのも、

それらを元に、
新たなゲーム企画を産み出して、
世の中に発信したいから…

言ってみれば、

『自分の思考能力で、
新たなニーズの商品を作り、
収入を得たいから』
です。



つまり それは、

『自分の望む将来』 のためであり、

『自分の生存』 のためでもあるわけです。






このように、

人間さんたち それぞれが描く 「夢」 も、

その先にあるのは、
『自己の生存確率の向上』
と言えるわけです。


ただ…





ここで ミューラー は、

ちょっと目をつぶって
考え込みました…



ふきかみね は、

黙ってしまったトンビ紳士の顔と、
お互いの顔を、
何度か交互に見つめました。


  






以前にも お話ししましたが、

人間さんたちの中には、
『夢というものを、そもそも勘違い』
していらっしゃる方々もおられます。


先ほどもふれた、
『単なるアヤフヤな希望』 を、
「夢」 として語っている場合
ですね。


その場合は 残念ながら、

「夢 = 生存確率の向上」 とは、
必ずしもならない
のです…






ふき は、以前の自分の
姿が思い出されて、

体がギュッと ちぢこまり、
背中がヒンヤリしました。







「自分のゲームアイディアを
世の中に発信するのだ!」
と言いながら、

そのための具体的な下積みを
なにもしていなかった
、かつての自分…



周りから称賛される自分を
夢想するばかりで、

ただただ 大切な人生の時間を
浪費してしまっていた
、かつて自分…



覚悟のない夢は、ときに、

『自分の生存確率を、低下させる
危険すらある』
のです。







「薬」 にも、「毒」 にも、

なるんだなぁ…





「夢」 の 素晴らしさと 恐ろしさ
あらためて実感し、

ふき は 我知らず、
そう つぶやきました。








そんな ふき に、ミューラー

ふと 思い出したように、
こんなことを言うのでした。




ところで、ふきくん。


実は、ふきくん の 「夢」 は、

これまで ご説明した
「DNA の生存確率の向上」 だけでは
説明できないところがある
のですが…


それは お気づきでしょうか?






「え!?」






突然 そんな話をふられた ふき は、

言われた意味が分からず、
オロオロしてしまいました。





「生存確率の向上」 だけでは
説明できない 「夢」
って…


ど ど、どういう事ですか??





うろたえる ふきかみね に、

ミューラーは、
ちょっとイタズラっ子のような
笑顔を見せて、

こう答えました。




後日、あらためて
お話いたしましょう。


これは、本当の意味で
『生存本能』 を考えるとき、

避けては通れない、
とても重要で大切な 「矛盾」


だからです。






「自分の夢に、

どこか オカシナところでも
あるのだろうか…??」







ふき の中に、

不安と興味が 湧いてくるのでした。







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