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第11章『人間は、地球最後の「はかない希望」』→ 地球生物が 生き残るために、 『しあわせ』を どう活用するか? |
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これまで 何度か お話しした通り、 『お金』を 得ること は、 必ずしも、 「しあわせ そのもの」 というわけでは ありません。 | |
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しかし 一方で、 「資本主義社会」に おいては、 お金を持っていることは、 イコール 『行動の 選択肢・自由度』 に 直結 しています。 つまり… | |
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『その お金で 自分が得られる、 選択肢・自由度』 の 使い方を 「工夫」すれば… | |
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『人類の知性の成長』の 手助けに なるかもしれない… という事ですね? | |
ミューラー が うれしそうに うなずきました。 | |
でも、 ふきさんとは 以前に、 『お金の 無限化』 を 考えたことが ありましたよね。 | |
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あのとき たしか ふきさんは、 「本」や「音楽CD」や 「ゲーム」に 埋もれてしまって… | |
その通りです。 思考実験『無限化』 によって、 一時的に 「大富豪」気分 に なってみた ふき でしたが… その結果 得られたのは、 自分の一生を費やしても 消費しきれないほどの、 『娯楽と 贅沢の 無間地獄』 でした… | |
だとすると やっぱり、 「お金」は 『人類の 成長』には つなげられない のかなぁ… | |
そう言って 落ち込む ふき に、 ネック が 意外な助け舟を 出してくれました。 | |
ねぇ、ふき? あんた さっき、 『その お金で、 自分が何を手に入れるか?』 が 重要 みたく 言ってたけどさ。 | |
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もう1個、 「大事なこと」が 抜けてると 思うんですけど。 | |
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「大事なこと」… というと?? | |
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その お金を、 『誰のために 使うか』よ? | |
ああっ!! |
ネック に 言われて よくよく思い出してみれば、 「無限化」のときに ふき が 提案した 「お金の使い道」は、 全て、 『自分のために使う』 ケース ばかりです。 あるいは 『自分の趣味』のため… あるいは 『自分の生活』のため… いずれも、 「自分の」欲求を 満たしたり、 「自分の」生存確率を 上げるものばかり なのです。 | |
という事は… たとえば 生活に困っている 「他人」のために 『募金』とかするのが、 「未来を作る お金の使い方」 って事なのかな…? | |
ふき の 言葉に、 ミューラー が 応えました。 | |
そうですね… それも たしかに、 「1つの手」だとは 思います。 | |
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ただ、 「困っている人に お金を施す」のは、 ある意味、 『今、火事になっている家の 消火を手伝う』 ようなものです。 | |
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「目の前の問題を なんとかするための、 お金の使い方」… ということですね。 | |
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そうです。 でも 一方には、 「こんな使い道」も ある のです。 | |
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『今後、火事にならないような 家を作る「技術」に、 お金を使う』… | |
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つまり、 『「将来的」、 あるいは「根本的」な 問題解決のために、 自分の資金を投資する』 …そんな 使い方です。 | |
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「今」生活に困っている人を 助ける 以外にも、 『将来』人々が生活に 困らなくても済むような 世の中を作るのために、 自分の お金を使う… そんな方法もある、 という事ですね。 | |
ミューラー が、 ニッコリと うなずきました。 | |
その通りです。 他人に お金を 寄付する にしても、 『誰に 対して』 『何に 対して』 出資するか? が 重要なのです。 | |
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「行動」する だけで 満足するんじゃなくて、 『行動の 方向』も ちゃんと 考える ってことね? | |
ミューラー が 再び、 うれしそうに うなずきました。 | |
そうでなくては、 せっかく ふきくんが 他人さんに譲った 『行動の自由』(お金)も、 十分には 活かされない と 思うのです。 | |
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(今の)自分に 「人類の知性の向上」 のための 有効な手が 無い・できない 状態にあっても、 『それができる 誰かに』 自分の持つ お金(自由度)を 譲る ことで、 結果的に 『人類の知性の向上』に 自分が かかわる事が できる… これは ふきには、 本当に新鮮な 気づき でした。 お金を使う対象は、 「自分」だけではない… そんな 考え方も あったのです。 | |
もちろん… | |
ここで ミューラー は、 念を押しました。 | |
もちろん、 自分の中に 『人類の知性の向上』 についての 有効なアイディアがある のであれば… | |
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それを実行するための 「下準備」や「自分の成長」 のために お金を使う のも、 立派な「使い道」の 1つ だと、私は思います。 | |
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大切なのは、 『最終目的』 (自分たち生物の永続) を 見失わない事、 『本質』を 忘れない事 です。 | |
ふき は あらためて、 自分の 預金通帳 を 見つめました。 一時は 「ただの数字」にしか 見えなかったこともあった 預金通帳の残高が、 今の ふき には、 『自分たちの未来を 切り拓く 可能性の1つ』 として、 ほんのり 輝いて見える のでした。 |