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第9章『将来 100%滅亡する、われわれ「生物」2』→ 『他天体の影響』による滅亡を、いかに 回避するか? |
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他の恒星系に移住 するとき、 最も問題になるのは、 その『距離』です。 | |
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先日も お話ししました が、 太陽の すぐ お隣にある 「アルファ・ケンタウリ」 ですら、 光の速さで 4.3年も かかってしまう ほど 離れています。 | |
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これは つまり、 「スペースシャトル」のような、 現在の 地球の宇宙船 を 使用した場合で、 (最大速度「秒速 7.9km」、 時速にして 「毎時 2万8440km」) 16万 3000年 もの 年月を要する とんでもない旅路になる ということです。 | |
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ぐえっ!! | |
ふき は 意識が遠くなりました。 先日は、 2つの星の間に広がる 長い距離 の おかげで、 「恒星同士の 衝突の危険性が ほとんど0に 等しくなる」 ことに 安堵したものですが… 逆に『移住』という 観点で見たとき、 今度は その 絶大な距離 が、 あまりにも あまりにも 大きな『壁』として 立ちはだかってしまう のです… | |
片道の移動だけで、 16万年以上 も かかってしまうなんて… 私たち「神さま」の 寿命でも、 ぜんぜん 足りませんね… | |
数字の あまりの巨大さに、 真っ青になってしまった かみね に、 ミューラー は 説明を続けました。 | |
もちろん、 将来 人間さんたちの科学力が どんどん向上していけば、 いつかは 「亜光速 宇宙船」 の 実用化も ありうるでしょう。 | |
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そうすれば、 他の恒星系への 移住も、 より 現実的になる と 思われます。 | |
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「あこうそく うちゅうせん」? 何よそれ、ミューラー。 あんたの言葉は 難しすぎんのよ。 | |
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し、失礼しました。 「亜光速 宇宙船」 とは つまり、 『光速』(秒速 約30万km) と 同じぐらい速く 飛行できる宇宙船 の 事なのです。 | |
ネック に 指摘され、 ミューラー は あわてて 『亜光速 宇宙船』 についての解説を 始めるのでした。 |
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光速に近い速度(亜光速)で 移動する物体(宇宙船など)は、 単に 移動スピードが 速いだけでなく、 『ウラシマ効果』 と 呼ばれる、 不思議な「時間の遅れ」が 期待できます。 | |
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つまり、 亜光速の 宇宙船の 乗組員にとっては、 「時間の 進み方が ゆっくりになる」 のです。 | |
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仮に、「光速の 99%」を 出せる宇宙船に乗れば、 船内の 時間の進み方は、 なんと『7分の1』まで 遅くなります。 | |
この話は ふき も、 SF関係の 映画や マンガで 見たことがあります。 宇宙旅行から 帰ってきたら、 自分の子供が 自分より歳をとって いたりする、 怖くて 不思議な現象 です。 | |
これにより、 実際には 4.3年ほど かかっている 「アルファ・ケンタウリ」 までの旅は、 『乗組員にとっては』 「7ヶ月半」ほどの 時間としてしか 作用しません から… そこまで無茶な旅では なくなるはずです。 | |
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そうした 「亜光速 宇宙船」を、 たとえば 船内時間で「10年間」 乗組員が がんばって 飛ばし続けることが できれば… | |
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船外で 実際に 経過している時間は、 7倍の『70年間』… つまり 宇宙船も、 70光年ちかく 移動している ことになります。 | |
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これなら、 「移住できる 恒星系」 の 選択肢も、 かなり 広がって来る のではないでしょうか? | |
ミューラー の 話が 一区切りすると、 ふきたちは それぞれの感想を 述べはじめました。 | |
「ウラシマ効果」か… 本当に不思議だよね、 『相対性理論』。 というか、 僕らの住む この宇宙… | |
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宇宙船の中に、 「10年間」缶詰め か… あたしは、ちょっと ゴメンしたいけどね。 | |
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ほとんど 何もない 宇宙空間を、 10年間(実際には 70年間)も 飛び続けるなんて… 怖いですし… 寂しいですよね。 | |
ミューラー は そんな言葉たちに、 静かに うなずきつつ… ここで、 少し 気がかりなことを 語りはじめたのでした。 |
生き延びるために、 無限に広がる大宇宙への旅立ちを 余儀なくされている われわれ「地球生物」… ところが実は それ以前に、 その旅よりも 「はるかに根本的な問題」が、 我々の前に立ちはだかっている のです。 次のページでは、 その『根本的な問題』 について お話しいたします。 |